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『Twins&Lovers』
【学園物 官能小説】

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『Twins&Lovers』-110

「………」
思わず窓を閉めてしまった。なにか、ジローが声をかけているようだが、いまさら開けることなどできそうもない。
(はあ……)
 ほんの少し、早まったことをしたと思う。だが、覆水盆に帰らず。
 そのまま椅子に腰掛けて、衝立の中からオレンジ色の背表紙をした冊子を取り出した。
 そこには、写真の数々が貼り付けられている。白い背景の上で、幼い頃の自分とジローが、ところせましと暴れていた。
家族同士の仲も良かったから、なにかあるとは一緒に旅行をしたものだ。故に、この頃の写真には決まって自分とジローが同じ実写の絵の中にいる。
「あ、あはは」
 そしてひとつ、どうしても正視できないものがある。それは、小さなジローと自分が唇を合わせている写真。その行為の意味を何も知らないまま、自分からとったポーズだった。
ちゃんと目を閉じている自分に対し、つぶらな瞳を点にして呆然としているジローの表情が可笑しい。
(ちっちゃな頃は、こんなに素直になれたのに……)
 写真のジローを指でなぞる。触れている唇のところに人差し指を当て、それを自分の唇に持っていく。もう10年ぐらい昔のことで、朧にさえ覚えていない記憶なのに、そのときの暖かさが蘇ってくるようだ。
(ジロー……)
 切なさに、胸が苦しい。ジローとユリネが、仲良さげに街を歩くビジョンが浮かび、それを遠めに見るしかできないでいる自分の姿がみじめだった。
(あたしだって……好きなのに……)
 高鳴る胸が抑えられない。
(あいつのこと考えるだけで、こんなに苦しいぐらい、好きなのに……)
 どうして、素直に言えないんだろう。
ど、ど、ど、と波打つ胸を抑えるように、乳房に手を這わす。体の奥から湧き上がる熱さが、触れたことによって、乳房に集中した。
「………」
 そのまま、緩やかな円運動で胸を弄ぶ。熱くて甘い血流が、痺れにも似た心地よさを生み出した。
「ジロー……」
 唇から、恋しい人の名が零れた。自分の指に、彼の姿を投影する。
(本当は、あいつに、こんなふうに触ってもらいたい……)
 右手を、太股の間に伸ばす。ショーツに包まれている柔らかい唇に、そのまま指を滑らせた。
「はぁ……」
 甘い吐息が、漏れた。
 中指を、ちょうど筋の間で往復させる。たちまちその部分は湿りだし、柔らかさだけでなく、温みを帯びてきた。

 すに、すに、すに………。

「く……ん……ふ………」
指先で、円を描くように中心をなぞる。その動きにあわせるように、股間から昇ってくる甘い刺激がたまらない。中学生の頃、姉の部屋で見つけてしまった官能的な雑誌から覚えた行為は、寂しさを感じたときいつも彼女を慰めてきた。
「あ、ジロー………ジロー……」
 その指使いに、幼なじみの姿を映して。その名を呼ぶ唇からさえ、官能は生まれてくる。
「あ、はあ………あ、あく………ん、ん、ん……」
 じっとりと、筋状に粘りつく布地。それを反時計回りに弄ぶ。
「ん、んんっ!」
 少しだけ深く、指先を凹みに抉らせた。びくり、と内股が震えて腰が浮く。ささやかなものだった愉悦が、はっきりとした快楽に変化して体中に散らばった。


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