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『Twins&Lovers』
【学園物 官能小説】

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『Twins&Lovers』-101

 その後、彼女が転校先の一年生だということを知った。そして、文芸部に所属していることも。これは、先の学園でも同じ部に所属していた彼にとって、渡りに船だった。
 そして、兵太のなかで、ふたみに強烈な関心を抱かせたのは、安納郷市の著作を読むその姿だった。藤堂智子や安原美野里と違い、完全にその世界に引き込まれている彼女の表情に、はっきりと兵太は惹かれるものを感じた。
 同じ世界を、共有できる異性。――――月並みだが、運命かもしれない。
だが、彼女は男子に人見知りするらしい。実際、最初の頃は、部室で顔をあわせても三言話が続けばいいほうだった。
(……いや、轟君。これは、異例なことだぞ)
 智子の話では、兵太に対してはそれほど萎縮していないという。それを信じて、この間は書店への買出しに誘ってみた。快く了解してもらえたのは、美野里も一緒に誘ったということもあるだろうが。
 脈が無いわけではない。それどころか、ひょっとして期待してもいいかもしれないと思わせることがある。
 それは、ふたみが兵太のことを、
『兵太さん』
 と、呼ぶからだ。最初は轟先輩と呼んでいたが、兵太が名前で呼んで欲しいといって以来、ふたみは自分のことを、
『兵太さん』
 と、呼ぶようになった。普通の男子なら名前どころか萎縮して話もできないような彼女が、一足飛びで“先輩”を抜いて名前を呼んでくれるのだから、自分になんらかの好意を抱いていると思うのは当然だ。
(…………)
 兵太は、チケットを相手に押し問答を繰り返す。そして、深夜に及ぶまで考え抜いたときに彼は気づいた。
 それほどまでに、安堂双海のことを意識している自分に。
 ―――――ハラは決まった。





「おはよう」
 勇太郎は欠伸をしながら、教室に入る。昨夜、結局ひとみの部屋で寝てしまい、5時ごろに慌てて自分の家に戻った。そこから2時間ほどして、恒例の朝食タイムと相成ったので、ほとんど仮眠程度の睡眠しか取れなかったのである。
 それはひとみも同様だったらしく、登校途中に何度も口元を抑えていた。
「あれ? 轟、どうした?」
 自分の席に向かう途中、隣の兵太が机に突っ伏してなにやらぶつぶつ言っているのが見えた。それで思わず声をかけたのだが、
「お兄さま!!」
「どわ!」
 やぶからぼうに顔をあげ、わけのわからないことをいう。
「あ、おはようさんです、安堂はん」
 勇太郎の隣で目を点にしているひとみに、兵太は軽く頭を下げた。ちなみに彼はひとみのことを“安堂はん”と呼び、勇太郎のことを“勇太郎はん”と呼んでいる。
「お、おはよう轟くん……」
 ひとみは、この髪をおったてた丸眼鏡の八重歯の関西系人物である轟兵太とは、他のクラスの男子よりは打ち解けているふうがある。
なぜなら、彼こそふたみの想い人と知っているからだ。
本当は、転校してきたこの新しいクラスメイトを一目でそれと見抜いたときに、すぐにふたみに引き合わせようと考えていた。しかし、彼がふたみと同じ文芸部に入ったというのを聞くに及んで、これは成り行きに任せたほうがいいという見解に至った。
既に接点ができているのに、これ以上の下手な横槍はかえって事態をややこしくすると考えたからだ。
おそらく二人はもう、知り合っているだろう。ふたみがこのことで相談してきたら、全力でそれに応えるつもりでいる。
 勇太郎は、兵太の隣に座った。そこが彼の座席だ。
「じゃね」
ひとみの席は、窓際かつ後ろの方にあるので、勇太郎に手を振ると、その場を離れた。


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