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Overtake goodbye
【姉弟相姦 官能小説】

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〜再会〜-9

「見違えたよ。こんな美人になってるなんて、あの頃は、想像すら出来なかった」

 俺の正直な感想に、長岡はケラケラと笑っている。

「随分な言い様ねっ。あの頃だって、そこそこは可愛かったんだから」
「そうかも知れないけど、俺逹、男子には“女イチロー”としか見て無かったからな。
 いつも“どうやって倒してやろう”ってしか、考えて無かったんだ」
「確かに、そうだったわね……」

 懐かしさに急き立てられるまま、俺と長岡は、思い出話を語り合う。彼女は笑い、頷き、そして時折、あの頃みたいな自信に満ちた顔を覗かせた。

「──ああ!ずっと立ち話しちゃったな」

 一頻り話を終えた時、昔話の楽しさにかまけてしまい、肝心な事を忘れていたのに気付いた。
 黄昏時を迎え、外気は熱を失い掛けている。

「中に入らないか?ずっと外だから、冷えたろう」

 俺は、中に入るようにと促すが、長岡は小さく手を振り、「遠慮しとく」と、拒否の姿勢を表した。
 どう言う事だ?昔の仲間とは言え、警戒してるのか。

「何か、用事が有ったんじゃないのか?」
「ううん。ただ、確かめたかっただけ」
「えっ?」
「じゃあ、和……藤野さん。またね」

 長岡は、そう告げると踵を返した。
 最後の言葉が妙に引っ掛かる──。確かめたいだけなら、何も此処に来る必要は無い。会社で調べれば良いはずだ。
 それなりの理由が有って、わざわざ出向いたんじゃなかったのか?

「あの、ちょっと!」

 追い掛けようとした時、先に彼女の方が立ち止まり、俺の方を見た。
 その表情が、やけに険しい。

「か、和哉……君、あのさ」
「な、なに?」
「もう……結婚はしたの?」
「はあ?」
「ごめんなさい!今の忘れて」

 不味い話とでも思ったのか、長岡は途中で切り上げてしまい、小走りで去って行った。
 俺は、遠ざかる彼女に目を向けたまま、見せられた行動の真意を測りかねていた。
 此処に出向いて、追憶に浸っただけで特別な用件は無し。そして去り際に、俺が結婚しているのかを確めるなんて。

(大体、俺が妻帯者どうかなんて、総務なら簡単に調べられるだろうに……)

 不可解な、昼下がりの出来事は、こうして終わった。
 総務の長岡莉穂が、かつての同級生でライバルだった飯山莉穂だなんて、今だに信じられない。

「そう思うと、本当に俺だという事を、確かめたかっただけかも知れないな……」

 自分を、そう納得させて部屋へ戻り、冷蔵庫から二本目の缶ビールを取り出した。
 ごちゃごちゃ詮索するのは止そう。今は、この奇跡的な“再会”を素直に喜び、類い稀な体験が出来た事に感謝しよう。

「ふぅーーっ!」

 再度のアルコールによる気だるさを感じながら、俺は自然と、さっきの出来事を反芻し始めた。


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