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Overtake goodbye
【姉弟相姦 官能小説】

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〜再会〜-8

「やっぱり、和哉だ」
「へっ?」

 彼女は、俺の顔をじっと見つめたかと思うと、そう言って微笑んだ。
 美しい笑顔だが、俺にはさっぱり解らない。

「──何処かで、逢ってましたっけ?」
「未だ、判らない?」

 彼女が、答えを待って俺を見つめ続ける中、俺は、昔の女や見合いした相手、それから、繁華街のホステス嬢達など。
 俺の生涯で知り合った数少ない女性逹の顔を、記憶を遡って思い出してみても、そこに長岡莉穂は見つから無かった。

 第一、これ程の美貌の持ち主なら、忘れるはずが無いと断言出来る。

「いや……全然、思い出せないな」

 答えを聞いた長岡は、さっき迄の微笑みから一転、表情を曇らせた。

「そうか……そうよね、あれから随分経っちゃったし」

「あのさ、長岡さん。それ、本当に俺なのかな?」

 彼女の落胆ぶりは酷く、見ている俺は、何とも居た堪れない気持ちになってきた。

「判らないわよね。途中で転校しちゃったし、名字も変わってるから」
「えっ?名字って、前のは……」
「以前はね、飯山って言ってたわ」
「飯山……!」

 飯山と聞いて数秒の後、俺の脳裡に十八年前の映像が鮮明に浮かび上がり、同時に胸が熱くなった。

「飯山って、あの“女イチロー”の飯山か!?」
「やっと思い出してくれた!」
「まさか!お前が飯山だなんて、びっくりだよっ」

 飯山莉穂は、俺の小学校時代の同級生であり、同じ野球リーグで戦った仲間でもあった。

 三年生の春。喘息が治った俺は、念願だった近所の野球チームに入部する。前から、病気が治ったら思い切り身体を動かしたかったからだ。
 最初の二年間は、試合にも出して貰えず、球拾いや試合でのボールボーイ等、雑用係ばかりの日々だった。
 でも、喘息だった頃の、寝てる以外に何も出来なかった事と比べれば、何ともなかった。
 何より、練習で自分が上手くなってる事を実感出来るのが、とても嬉しかったと記憶してる。

 そうして五年生の春。初めてピッチャー兼ライトで試合に出させてもらった。
 その時の、対戦相手の先発ピッチャーが飯山莉穂である。女だてらにエースで四番。漫画みたいな展開を目の当たりにして、俺は半信半疑だった。
 だが、俺の見解が誤りだと気付くのに、幾らも掛からなかった。
 投げては、三振の山を築く程ボールは速く、打っては毎打席、長打を放つ位、巧さと力を兼ね備える、素晴らしい選手だった。

 強いても、そのバッティング・フォームは当時、今以上の人気だったイチローの振り子打法を模していた事で、俺達の間では“女イチロー”と、渾名が付けられる程だった。
 それが、十八年という歳月を経て、こんな形で再会するなんて。


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