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紡ぐ雨
【SM 官能小説】

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志津絵-21

志津絵を拾って半年は、蜜月のような暮らしが続いた。
梅林の絵は高値で売れるようなものではないが、親の代からの持ち家であったことや、近隣の土地を貸すことで定期的な収入があり、さして苦しい暮らしではなかった。
 梅林は子供のできない体だった。前の2人の妻たちはそれが理由で出て行ったのである。
 「もう結婚と言う形式はどうでもよかった。志津絵とは40近くも離れているしな。だが、数年前籍を入れた。私に何かあれば、財産は志津絵のものになる。やかましい親族もいるが、金を受け取ったらどこへでも行けばいいと言ってある」

 椙田君。信じないだろうが、私たちは愛し合っているんだよ。

 学のない志津絵に読み書きを教え、いいものを着せ、上質なものを食べさせた。礼儀作法を教え、人並みの暮らしに困らぬように育てた。

「あたしは体しか取り得のない女だよ。先生には、あたしの体の全部をあげるよ」
 志津絵はそう言って屈託なく笑っていた。
「ところが志津絵と暮らして半年ほどして、私は突然起たなくなってしまったんだ。ほぼ同時に、絵の方も描けなくなった。目の前に食べてしまいたほど愛しい女房がいるのに、抱けなくなってしまったんだ」

 君にわかるかい?私のその気持ちが。
志津絵はなんとか私を奮い立たせようと、いろいろとしてくれた。
下品なポーズを取ったり、卑猥な言葉を囁いたり。
精神科にも通った。

 志津絵は始め、私に自分の性癖を話さなかった。
それはそうだろう。ああ言った話を夫婦と言えども話せる人間はそういない。
「先生に嫌われたくありませんでしたから」
 志津絵はそう言った。
「だが志津絵はまだ若い。体もまだまだ女として花咲いて行く年だ。そんな時私が役立たずになってしまった。気持ちは私を思っても、乾いていく体はどうしようもなかったんだろう」
 始めは手を縛ってくれと言った。
 私にはもう、指と口で志津絵を慰めるしかできなかったからな。
 手を縛り、目隠しと猿轡の姿で寝かせると、私も興奮はしたよ。だが、そこまでだ。気持ちの高鳴りと体が呼応しないのだ。
 私は暴力は好まないが、志津絵に頼まれて叩いたこともある。跡が付くほど噛んだり、踏みつけもした。

志津絵は、それで涙を流しいった。

あまりに可哀想だったんだ……そんな妻が。
 志津絵の要求はだんだん過激なものになって行った。
後ろ手に縛り、足を拘束する。心にもない罵声を浴びせながら、着物をまくりあげて尻を叩いた。
 志津絵がある程度満足したら、梅林は指と口でゆっくり愛撫した。
筆攻めをすることもある。筆先で敏感な乳首や陰部をなぞるものであるが、痛みは伴わないため志津絵のような、痛みや苦しむを好む被虐者には満足のいく内容ではなかった。
「先生……挿れて、深く挿れて」
志津絵の悲痛な声を聞いた梅林は、他の男を宛がえることを考えた。

 志津絵は最初首を振ったが、他の男に抱かれる志津絵を想像することで嫉妬心を掻き立てられ、男性自身が復活するかもしれないと言う、微かな希望もあったのだ。


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