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紡ぐ雨
【SM 官能小説】

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志津絵-16

「なにを考えている」
梅林に言われ、志津絵ははっとして顔を上げた。
「動くな」
梅林は熱心にデッサンをしていた。
「すみません。つまらないことを思い出していました」


 東京に出て来て、有り金も使い果たした。
もう本当に娼婦になろうか。自分にはこの体しかないのだから。その日は志津絵の好きな雨が降っていた。
東京駅を出て、右も左もわからず街灯の下を歩いていた。とぼとぼと濡れて歩いているうちに、目の前に皇居が見えて来た。
これが皇居か、なんだかとてつもなく広いな……。このお堀に飛び込んだら、死ねるのかな。でもそんなことをしたら罰当たりだって言われそうだ。
 そんなことを考えていた。
「こんな時間にどうしましたね」
傘を差しかけてくれた男がいた。
それが梅林順斎であった。
行くところがないと話すと、それでは家に来なさいと言った。
体目当てなのだろうがそんなことで驚く志津絵ではなかったので、ありがたく着いて行った。
「私も作業に行き詰ると夜散歩をするんです。梅雨はみんな嫌がるが、私はこの柔らかい雨が好きでしてね」
ああ、この人も雨が好きなんだ。
志津絵はなんだか仲間を見つけたようでその場で履いていたハイヒールを脱いだ。殺された男が買ってくれた靴だった。
「おいおい、怪我をするよ」
「いいんです。あたしはこうやって雨に打たれるのが好きなんです」

梅林の家で過ごした次の日。
まだ夜が明けたばかりの時刻に、志津絵は布団から出て障子を開けた。まだ雨が降っている。
志津絵は寝巻きを脱ぐと、裸になって庭に出た。
全身に雨を浴びた。梅林の言う柔らかい雨が全身にまとわりついた。
細い糸が体に巻きつくようで、とても気持ちよかった。
ああ、あたしは子供の頃からこうしたかった。雨を着てみたかった。
「何をしている」
気配で目を覚ました梅林が驚いて志津絵を見ていた。
「おじさん、気持ちいいよ。あたしこうしたかったの、子供の頃から」
若い豊かな肉体は雨を弾いていく。細い水が全身を通る水脈のように巡っていた。乳首の先から水滴が落ちていく。
「美しいな……」
「え?なあに?」
「美しい、と言ったんだ」
「おじさんは笑わないんだね。裸で雨に濡れるなんてさ、普通はおかしいでしょ?」
「笑いはしない。元々絵描きなんて、きっとどこかがおかしいのだ。いや、それでは他の絵描きに申し訳ないか」
志津絵は濡れた体のまま、梅林の腕に飛び込んで来た。
「おじさん、しよう。あたし、すごくしたいよ」
梅林は志津絵の冷えた体に唇をつけた。固くなった乳首を吸った。
「ああ、おじさんの口、温かい」
梅林はじっくりと時間をかけて志津絵を愛撫した。太ももの柔らかい肉を丁寧に吸って行く。
志津絵は自分から足を開いた。どうすれば男が喜ぶか、もう学習済みだ。
「ねぇおじさん、いい?あたしの、いい?」
「いいよ。滑らかで、愛液がどんどん満ちてくる」
「ああ、おじさん。もっとぉ……」


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