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【その他 官能小説】

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そして、本番-1

開放感溢れる広いフローリングのど真ん中に置かれたクイーンサイズのベッド。


俺は、慣れ親しんだこのベッドに腰掛ける。


何人もの女を抱いたそのベッドで、本日の女優の登場を待ち侘びていた。


目の前には、俺の信頼できるスタッフが、もうすぐ始まる本番に向けて、準備をしている所。


カメラマンの井出秀人(いでひでと)はカメラを覗き込んではモニターチェックをして。


音声の取手英隆(とりでひでたか)も、ガンマイクに取り付けられた「ブーム」と呼ばれる長い棒にケーブルを巻き付けたり。


照明の多田克也(ただかつや)が、井出と打ち合わせをしながらレフ板の調節をしたり、と本番に向けて余念がなかった。


あとは、別室で傳田によるヘアメイクを済ませた田所さんがスタジオに入れば撮影が開始される。


スタジオっても、うちの会社のオンボロビルを借り上げた一室のショボいセットなのだが、カメラのレンズ越しに見れば、不思議と高級ホテルの一室に見える。


それもそのはず、傳田のインテリアのセンスがよく、小物だってどこから見つけてくるのか安くておしゃれなもので固められている。


あまりごちゃごちゃ物を置かず、あくまでシンプルに。


こんな風に仕立てあげることが出来るのも、秘書兼ヘアメイク兼小道具の傳田の腕があるから。


まったく、24歳の若い女ながらに頼もしい奴だ。


それだけじゃない、弊社のスタッフは少数ながらもどいつも優秀な奴らばかりなのだ。


会社を立ち上げた時は、まるで何も持たずに海に出るような不安でいっぱいだったけど、なぜか俺は悪運が強いのか、人間関係については恵まれることが多い。


うちの会社は小さいし、人数も少ないけれど、従業員の能力に限って言えば、大手のAVメーカーになんら遜色はない、と思っている。


もちろん、撮影するにあたって人数が多ければ、それだけスケールのでかい撮影ができるかもしれない。


だけど、うちの会社が撮るべき対象は、素人さんなのだ。


いくら、AV女優の真似事をしてみたいとか、二人の激しいセックスを撮ってみたいと言ったって、見知らぬ人間の前で乱れるのはとても勇気がいるだろう。


だから、素人さん相手には少数精鋭で撮影に臨むべきだ、そう考えている。


カメラマンの井出、音声の取手、照明の多田、そして秘書の傳田。


コイツらがいるから、俺は安心していられる。







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