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運命という名の恋
【女性向け 官能小説】

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「もし良かったら、楽屋に花束を届けたいのですが」

遠慮がちに言った上杉さんに
「彼氏に遠慮なんかしないでよ」
と耳元で話す。

「え・・・」
また赤くなった上杉さんを可愛いと思いながら
くすくす笑って連れ立って楽屋のほうに歩いていった。

少しごった返している楽屋は、知り合いがみんな花束を届けに来ているんだろう。
「混んでますね。受付に預けようかな」
その人ごみに、くじけそうになった上杉さんを
「直接渡した方が喜ぶよ」
と、楽屋の前まで連れていくと
入り口が開いた状態で、数人と話していた男のヴィオラ奏者が上杉さんに気が付いた。
「上杉!」
なれなれしく呼んだその声に、なぜだかむっとする。

「来てくれたんだ。ありがとう」
そう言って顔を崩した次の瞬間、俺を見つけてあからさまに顔をゆがめる。
それでも
「友人?」と聞いたのはそいつの希望か。

上杉さんはほんの少し上を向いて視線だけで俺を見た。
そして

「彼なの」

と、俺をそいつに紹介した。




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