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虹色の楽譜
【女性向け 官能小説】

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-3


奏くんは海外でいくつかの大きなタイトルを獲得した。
毎回、これで帰ってくる?と思いながら
何の連絡もない。

もう、忘れられているのかもしれないし
帰ってくる気はないのかもしれない。
待ってろと言われたわけではないし
待ってると言ったわけでもない。

そんな不安定な状況にもう何度待っているのをやめようと思ったかしれない。

でも。
心が、彼を待ち続けていた。

次のコンクールで優勝しても連絡がなかったら待つのをやめよう。
毎回そう決めて。
その時になると、また自分に言い訳して次のコンクールまで延長する。

その繰り返しだ。

豪さんと響子さんにお祝いしてもらって
30歳の誕生も無事に終わった。

軽く酔って、気分もよくなって
豪さんと響子さんに引き止められて、閉店まで話して。お店を出た。

ほんの少し歩いたところで懐かしい顔の男が
大きな大きな花束を持って笑って立っていた。

奏くん?―――

「茜さん。ただいま」

その言葉の瞬間、私は奏くんに飛びついた。

「奏くん?本当に奏くんなの?」
「うん。ホンモノ。茜さんをびっくりさせようと部屋に行ったけどいなくて。
豪さんに連絡したら茜さんがお店に来てるよって、教えてくれたから。
迎えに来たよ。でも閉店の時間には間に合わなかったね」

「遅いよ!1年遅刻だよ!5年って言ったのに!」
「ごめん」
「何してたのよ」
「誰にも・・・誰にも何も言わせないタイトルをとってきた」

「知ってる。テレビで騒いでた。でもあれからすぐに帰ってきてくれればいいじゃない」
「ごめん。いろいろ契約があったんだ」
「契約なんかほっとけばいいのに」
「そうだね」

奏くんは私を抱きしめて小さく笑った。







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