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飛べない鳥の飛ばし方
【ファンタジー 官能小説】

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秘密の部屋-2


 事の起こりは数ヶ月前に行われた国民一斉健康診断だった。
 銀の民の発作が起こりはじめ、他の民にも影響があるかもしれないから、と他民が集まる王都クアトリア住民全員強制参加だった。
 貴族からお金の無い貧民層までまんべんなく行われた健康診断で、陽性反応のあった者は全体のわずか0.01%。
 その者達は隔離され、陰性だった者達はワクチンを飲んで帰された。
 おかげで他民には発作が起こる事無く、被害が最小限で済んだ。
 というのが世間一般の常識なのだが、良い話には裏があるというもの。
 実際は国をあげて秘密裏に行われる実験の被験者を選ぶ為の健康診断だったのだ。
 実験の意味も理由も知らされていないが、2人1組で部屋に入れられ、交代で実験を行われた。
 お互いの実験内容は同じで、自分にとって良い環境の中で何かを注入されるというもの。
 青の民である自分の場合は水の中、彼女の場合は乾燥した灼熱の空間。
 しかし、どんなに心地良い環境に居ても、あの全身を襲う激痛は和らぎはしなかった。

 ただ、唯一の救いは組まれた相手が無茶苦茶可愛い女の子だという事だ。

 褐色の肌に白い髪、赤いルビーの様な目。
 典型的な赤の民な彼女は無口で滅多に声を出さない。
 喋れないのか聞いてみたら、首を横に振って『自分の声……嫌いなんだ』と答えた。
 その声は響きのある良い声で、何故嫌いなのか分からなかったが、暫く一緒に過ごす事で理由が分かった。

 彼女は、とても可愛いものが好きなのだ。

 花なら薔薇よりタンポポ、色はパステルカラー、ふりふりのふわふわが大好きだと、ポツリと話してくれた。

「?充分、可愛いと思いますよ?」

 低めだが響きがキレイな声だ、と素直に伝えると顔を真っ赤に染める。

 ほら、可愛い。

 多分、密室に2人きりだから、他に比べるものが無いから勘違いしているんだ、と言われたが、それでも可愛いと思ってしまうのだから仕方ない。

「あなたは……おかしな民だ……」

 照れながらも少し嬉しそうにする姿が完璧にツボにハマった。

(もし、自分が死んでしまったら彼女はどうなるのだろうか?)

 実験失敗で彼女も始末される?
 他の相方があてがわれて実験続行?



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