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守れ帝都を!! 日の神戦士アマテラス 第一部:勇者誕生編
【ファンタジー その他小説】

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狙われた帝都の象徴、日本の危機 そして神は降臨した-2

八咫鏡には大地の割れ目から朝日が差し込み、八尺瓊勾玉はその日を受け、その光は草薙剣に注がれている。その剣は地下の大地に突き立てたてられ、鴻池詩織の解読通り、まさしくこの日本に激震を招き寄せる下準備は整いつつあった。そんな中、ズタズタにされた速水薫が横たわっていた。
(俺は死んだのか…?)
痛みも冷たさも感じない不思議な温もりの中、薫は自問自答している。
「…ざめよ… 目覚めよ、青年」
若い女の呼ぶ声に定まらない視界を凝らす薫。菩薩の様に輝く光明の中、漆黒の黒髪をなびかせた白装束の女が立ってる。
「だ、誰です?」
「わらわの名は天照大御神…」
(俺は夢でも見ているのか? 天照大御神っていつの時代の人だよ)
歴史など気にも留めなかった薫にはピンとこない。だが毅然とした口調で有無を言わさぬ彼女の口調に思わず敬語になる薫だ。
「ヤマタノオロチを退治したっていうのは貴女ですか?」
「それはスサノオノミコトじゃ」
美女は少しばかり呆れた口調で間違いを糺した後、続ける。
「寝ぼけている場合ではないぞ、青年よ 見るがよい」
天照大御神が指さす方を見ると映画のワンシーンの様に映像が流れ始める。壊滅した帝都、黒こげになった人々、奴隷化されて鎖で繋がれた人々、明らかに日本の風景であるはずが他国人に占拠された街。
「よく見るのじゃ、これは日本の近未来…今、そなたが剣を取って闘わねば間違いなく我が国は破滅する」
「お、俺が剣をとって闘うって言いましても… 喧嘩位しかしたことないですよ しがない新聞記者ですし」
「情けないことを言うでない! そなたは私が見込んだ男 無論、丸腰では闘わせぬ! 見よ」
再び天照大御神の指さす方向を見る薫。そこには日本の美しい富士の山や、目を奪われる様な桜の木々、そしてその下で微笑み合う人々の姿。

「日本には八百万の神が存在する 生きとし生けるものには皆魂があり、それを主る神もいる その神々はこの国難を救うべく全てそなたに力を与えるであろう いや、それだけではない死して骸となっても国を愛し、御霊となってパワーを与える人々もいる そなたの御祖父のようにな!」
天照大御神は微笑みながら、誇らしげに一人の軍服姿の男性を指さす。言葉は発しないが力強く微笑むその貌には見覚えがあった。
「まさか…祖父ちゃん…!?」
かつて大国の侵略から祖国を守るため戦死した、写真でしか見たことのない祖父がいた。
「我が国には自己犠牲という美学があろう そなたのお爺上が万民のため命を賭して闘ったように、今度はそなた自身が剣を手に闘うのじゃ」
祖父は無言で薫に向かって敬礼をするとクルリと踵を返し、そして消えていった。熱いものがこみあげてくる薫に伝説の美女は言う。
「そなたは今日すでに死んだ そのためわらわは新しい命を授ける そして、この天照大御神はそなたとカラダを共にする 邪悪なる者どもは、古代の、そして神話の霊を呼び覚まし、邪神に変えて我が国に襲い来る それに抗えるのはわらわとそなただけじゃ」
「か、カラダを共にするって!? あなたは女性でしょ おまけに悪と闘うなんて!!」
「案ずるでない 今世は女性の時代と聞く ひ弱なそなたと鋼の強さを持つわらわが力を共にすれば、敵わぬ相手はいない 安心いたせ、わらわは常にそなたとともにいる…」
天照大御神の声が次第に遠のいてゆく。と、同時に薫の意識は戻った。傍らには大地に突き刺さった草薙剣が稲光して、その切れ目を揺るがしていた。


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