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劇場版『Chocolate Time』 第3話 遺されたナイフ
【レイプ 官能小説】

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遺されたナイフ-1

 夜8時過ぎ。真雪は、自らの経営するペットショップ「MAYU」のフロントにいた若い女性店員に声を掛けた。「ごめんね、香織ちゃん、遅くまで」
「いえ、とりあえずワンちゃんのカットの予約スケジュール、今日中に調整しときたかったので。店長こそ、お早めに帰宅して下さいね。愛する龍くんのためにも」彼女はそう言っていたずらっぽくウィンクをした。
「ありがと」真雪は微笑んだ。

「今日は龍くんのお誕生日なんでしょ?」
「そうだけど、なんで知ってるの?」
「だって、」香織は後ろを向いて、壁に掛かっていた大きなカレンダーを指さした。「ここにちっちゃなハートマークが」
「あはは、ばれてたんだ」
「羨ましいな。店長ご夫婦、いつもアツアツで。それに健吾くんも真唯ちゃんもめっちゃかわいいし」
 真雪は照れたように笑った。「香織ちゃんも素敵な彼氏、早く見つけなよ」
「そううまくいけばいいんですけどね」香織は困ったような顔をして小さなため息をついた。

 海棠真雪(30)は、高卒後、動物飼育の専門学校に通い、動物、ペットに関する数多くの資格や免許を取得して、現在すずかけ町の繁華街の中心付近に『MAYU』という小さなペットショップを開いている。彼女はいとこの海棠龍(26)と結婚して、二児の母となっていた。
 その真雪の夫、龍と、このペットショップに長く務める香織とは高校時代のクラスメート同士なのだった。

「じゃあ、店長、また明日」コートを羽織りながら、香織は店のドアを開けた。「うわ、寒っ!」
「今夜はちょっと冷えそうだって言ってた。帰りは気をつけてね」真雪は小さく手を振って、最後まで残っていたそのスタッフを見送った。
 真雪はフロントのカウンターに戻って、レジに鍵を掛けた。その時、店のチャイムがゆっくりと鳴らされた。真雪は怪訝な顔をして入り口に向かった。

「はい……」真雪はドアを開けた。

 外に一人の男が立っていた。茶色に染めた短い髪、頬から顎にかけて短い髭を生やしている。真雪にとっては初めて見る男だった。11月の終わりだと言うのに、その男は黒っぽいTシャツ一枚に、膝のあたりが破れたジーンズを穿いていた。そのよれよれのシャツの胸には『Dragon』というロゴがプリントされている。

「真雪さん、だね?」通りの悪い声でその男は言った。
「もう、閉店の時間なんですけど」

 男は構わず店の中に入り、真雪の正面に立った。そしてもう一度言った。「真雪さん、だね?」
「あ、あの、どなた?」
「え? 覚えてないの? ショックだな」男は真雪から目を離さず、抑揚のない口調で言った。
「え、えっと……」

 男は後ろを振り返り、入り口ドアの内鍵を掛けた。そしてまた真雪に向き直った。

「えっ?」真雪は小さく叫んだ。男の右手にナイフが握られていたからだ。
「騒がない方がいいよ、真雪さん」男は左手で真雪の肩を強く掴んだ。
「な、なに? ご、強盗?」真雪は青ざめた顔でようやく言った。
「期待を裏切って悪いけど、僕は今、お金には興味がない」
 真雪はおぞましい予感がして、思わず後ずさった。背中がカウンターの台に当たった。
「僕のこと、覚えてないの? 僕だよ、鷹匠」
「た、鷹匠……さん?」
「高校の時、一緒だったでしょ」

 真雪の記憶が甦り始めた。高校三年生の時に同じクラスだった鷹匠亮助。仲のいい友だちがいるわけでもなく、いつも占いや超常現象などの雑誌を教室の片隅で読んでいた。ストレートの長い髪を無造作に垂らして、時々見上げる目は焦点が合わず、精気を伴わずに虚ろだったことを思い出す。当時女子からも男子からも敬遠され、誰も話しかけようとはしなかった。

「思い出してくれた? 真雪さん。イメチェンしたからわからなかったんだね」
 鷹匠はつんつんと立った茶色の髪を自分でなで回した。
「な、何が目的なの? 鷹匠くん……」
「立ち話もなんだから、奥に行こうか、真雪さん」


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