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虹色の楽譜
【女性向け 官能小説】

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山下公園に行って、ベンチでただ風を感じた。
ゆっくりと歩いて赤レンガを通って中華街に抜ける。
お昼というお昼を食べないで
中華街で目についたものを店先で立って食べた。
ゆっくりと元町を見て外人墓地に抜ける。

こんな何でもない、お金をかけないような
学生のデートみたいな1日に満足して。

少し日が陰りだした夕方に
「ごめんそろそろ、バイトに行かないと」と港の見える丘公園で
港の船を見ながら、奏くんが名残惜しそうにぽつりと言った。

「もうバイト?早くない?」

こんな早い時間からレストランが開いているとは思えないんだけど。

「指を。慣らしておかないと。
お客さんの前に出る前に指を慣らしておきたいんだ」

へぇ・・・この子。プロなんだ。

「練習するってことだよね?」
「うん。今日は楽しかった。茜さんありがとう」
「私も楽しかったよ。ねぇ。その練習って、お店でするの?」
「うん」
「私も見に行っちゃだめかな?」
「え?」

驚いた顔で私を見つめた。

「あのお店で食事をするような格好をしていないのは分かってるから。
開店前には帰るから」

こんな恰好ではあのお店のドレスコードに引っかかるだろう。

「練習なんて見てもつまらないと思うけど」



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