6 ディーナの値打ち-2
く……と、顎を反らして喉を突き出した。カミルが一瞬、戸惑ったような表情になり、苛立たしげに舌打ちをする。
「おい、どこでそんなこと覚えた」
「え!? 別に、どこでとかじゃ……ただ、こうしたほうが噛みやすいかなって……」
あわあわとうろたえていると、カミルが喉を鳴らして笑った。
「お前の気持ちに応えて、ありがたく貰う。……それから、次は普通に抱かせろ。魔法のせいだなんて言い逃れできない状態で、じっくり乱してやりたい」
「なっ!?」
とんでもない言葉に絶句する。
カミルの赤い両眼が光り、たちまち全身が強烈な快楽に貫かれた。
「ぁ……はぁっ……」
熱い吐息が漏れ、全身が火照り始める。触れられてもいないのに胸の先端は痛いほど尖り、脚の付け根がじんわりと湿り気を帯びる。
ヌルリと首筋を舐められた瞬間、それだけで濡れた悲鳴をあげて達してしまった。
「ひゃっ、ん、ああっ!」
淫靡な快楽に痺れ、ガクガクと身を震わせる。急速に高ぶる熱と疼きは、やっぱり苦しいほどなのに、今度はひどく幸せに感じる。
「はぁ……咬む、ぞ……」
呻いたカミルの口には、すでに細身の牙が伸びていた。鋭いそれが喉に突き立てられると、強すぎる快楽も同時に打ち込まれる。
「あっ、あ、あああ!!!!!」
全身を駆け巡る快楽に身を委ね、恍惚のまま溢れ出る鮮血を啜られる。
視界が真っ白に塗りつぶされ、半ば意識を飛ばしたままカミルにしがみついた。
牙で開けられた首筋の傷を丁寧に舐められ、お腹の奥がキュンと疼く。
乱れたスカートの裾から差し込まれた手が下着を剥ぎ取った。濡れそぼった陰部に指を差し込まれ、グチュリと卑猥な音がたつ。
「や、ああっ! あ、ふ……あ、だめぇっ、――――っ!!」
本数を増やした指が体内で蠢くたび、繰り返し絶頂に押し上げられて、目の前に火花が散り続ける。
それなのに、ヒクヒクと痙攣する蜜壷は物足りなさを訴え、ディーナは涙を零しながら唇を戦慄かせた。
「旦、那さまぁ……は、ぁぁ……好き……だんな、さま……が、欲しい……ください……」
狂おしいほどの熱に追い上げられるまま、あられもなく懇願する。
「っ……今度は、少しくらい……優しくしようと思ってたのに……」
情欲に声を上擦らせ、カミルが唸った。
片足を抱えられ、ぐじゅりと先端が埋め込まれる。
「ひっ、あ、ふぁ、あああっ!」
トロトロに蕩けた中に屹立を押し込まれながら、何度も達しては嬌声をほとばしらせる。
ようやく根元まで呑みこむと、顎を掴まれて唇を塞がれた。
「んっ、ふ……? ぅ、う……」
唇を割られ、鉄さびの味が残る舌に口内をかき混ぜられる。
薄く瞳をあけると、とても綺麗な赤がすぐ間近で自分を見つめていて、たとえようもない満足感がゾクゾクと背筋を這い登る。
ディーナは夢中でカミルの首に両腕を回して引き寄せた。柔らかな舌を絡めあい、腰を揺らめかせて互いを貪りあう。
奥まで突き上げられるたび、繋がった箇所から蜜が溢れては、二人の衣服を汚す。
そんなことも、もう気にならなかった。
気も遠くなりかけた頃、低く呻いたカミルに強く抱きしめられる。
「ふ、あ、っく、あぁぁ……」
注がれる熱い飛沫を受け止めながら、ディーナが意識を失う寸前に『愛している』と小さく囁かれたような気がした。