2 鉱石ビーズ三百個-4
『っふ……』
満足そうに呻いたカミルが、すっかり惚けきったディーナの首筋をペロリと舐める。そこに開いた二つの小さな穴から、すでに血は止まっていた。
『あ、ふぁ、ぁ……』
全身をゾクゾクと満たす法悦に、ディーナが身震いしていると、大きく脚を広げられた。
『貧相な身体だが、お前の血は美味いな』
カミルが低く掠れた声で言い、己の口端にこびりついていた血を舌で舐めとる。
吸血鬼は血を吸うと発情するらしいが、さっきまでどこか冷めていたカミルの赤い両眼も、はっきり判るほど情欲にギラついていた。
魔法にかけられたせいなのか、ディーナの目に今から自分を犯そうとするこの吸血鬼が、凄惨なまでに魅惑的に見えた。
衣服をくつろげる音が聞こえ、ジクジクと疼く火照った秘所に、熱い塊が押し付けられる。
それが何か、蕩けきった頭の片隅で理解した。
農場の主人や小作男たちは、使用人の若い女たちへ、しょっちゅう手を出していた。
顔を真っ赤にして喘いでいた女は、気持ちいいというより苦しそうに見えて怖かった。
だが幸いにも、痩せっぽちで薄汚れていたディーナに手を出そうとする者はいなかったから、今日までそれだけは無縁だったのだ。
これも覚悟していたはずなのに、ゾワリと恐怖が頭をよぎる。
思わず拒絶の言葉を吐きそうになり、必死に唇を噛み締めたが……
蜜を溢れさせたそこへ、想像以上に熱くて質量のある楔が、じりじりと埋め込まれていくと、気持ちよすぎて恐怖など瞬時に消し飛んだ。
『く……あ、うううう……っ!!』
狭い隘路を押し広げられ、処女膜を裂かれても、ただひたすらこみあげる強烈な愉悦に、頭がおかしくなりそうなほど感じてしまう。
純潔を捧げたい相手だっていなかったし、そんな相手が現れる望みすら持てなかったから、悲しみも後悔もない。
先ほど牙をつきたてられた首筋がドクドクと脈うち、全身の熱をさらに増幅させる。
根元まですっかり肉茎を埋め込むと、カミルが苦しげに眉をひそめて息を吐き、ディーナの腰を掴んで揺さぶりだす。
『ひ、ああ!! あ、ひぁっ!! ン、あああっ!!』
手荒に扱われる悲鳴さえも艶を帯び、ディーナは快楽に突き動かされるまま嬌声をあげ、腰をゆらめかせていた。
荒い呼吸に混ざり、淫らな水音と、肌と肌がぶつかる音が響く。
抜き差しされる雄に媚肉を擦りあげられる度、快楽の火花が散って目が眩む。
繰り返し押し上げられる絶頂から降りられず、濡れた悲鳴をあげながらカミルにすがりついた。
次第に手足からも力が抜け、好き勝手に犯されて快楽を提供するだけの人形になる。
何度も精を注ぎ込まれるうちに意識が遠のきはじめ、朦朧とした意識の片隅で、ようやく全部終わるのだと安堵した。