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桃香(tousyan)
【調教 官能小説】

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秋麗-1

桃香の里親となるべく日本で待っている女性、秋麗は、かつてはシネアートに在籍していたAV女優だった。
 本名は秋山麗子・・・中国風の芸名を名乗っていたのは彼女が自分自身を『盲妹』になぞらえていたから、そしてその理由は彼女自身が盲目だったからだ。
 
 
 盲妹とは秦の時代に存在したと言われる盲目の少女娼婦。
 彼女達は幼くして売られて来ると目を潰された。
 ひとつには逃亡を防止するため、ひとつには客の選り好みをさせないため、そして、最も重要な理由は視覚を奪うことによってそれ以外の感覚を鋭敏なものにするためだ。
 勿論、麗子が光を失ったのは目を潰されたからではなく、緑内障によるものだったが。
 

 麗子が緑内障に気付いた時、症状はかなり進んでいた。
 緑内障は徐々に視野が狭くなって行き、最後には閉じてしまう病、普段スポーツに親しんだりクルマを運転したりしていれば早くから異常に気付いたのだろうが、そのどちらもしない麗子は、徐々に視野が狭くなっていることになかなか気付かなかったのだ。
 緑内障は点眼薬で進行を遅らせることしか出来ず、治癒することはない、そして眼球の内圧が高まることで症状の進行は速まる。
 麗子は家出同然に上京し、キャバクラのホステスをして暮らしていた、酒を飲み、際どい水着のダンスショーで激しく踊っていたのが症状を悪化させていたのだ。
「今のままダンスと酒を続ければ1年、どちらかを止めれば3年、どちらもやめて安静にしていれば5年」
 それが医師に宣告された失明までの時間的猶予・・・その時、麗子23歳、どんなに気をつけていても30歳前には失明してしまうと言うことだ、医師は早めに失明後の仕事を探すように勧めた。
 
 失明後も続けられる仕事と言っても、麗子にはマッサージ師か鍼灸師しか思い浮かばない、しかし、自由奔放に面白おかしく生きて来た麗子にはどちらも惨めな仕事としか思えない。
 なんとか他の仕事をと探したが、思うような仕事は見つからない・・・絶望の縁をふらふらと危なっかしく歩いていた時に、偶然盲妹のことを知った。

 性玩具にされるために悪くもない目を潰される・・・極めて悲惨であることは間違いない・・・しかし、麗子は盲妹に強く惹き付けられた。

 以前、戯れに目隠しをされ、手足を枷で拘束されてセックスされたことがある。
 何をされるのかわからず、何をされても抵抗も出来ない・・・そんな状況の中で普段より激しく感じ、経験したことの無い高みまで逝かされた記憶が甦った・・・。
 ただ、その相手は良く見知った彼氏、少々手荒に扱われたとしても身体を酷く傷つけられるような心配はない、しかし盲妹は娼婦、相手を選ぶことは許されない。
 しかも古の中国のこと、盲妹達は当然貧困層の出身で親から売られた身の上、富豪や権力者達が彼女達をどう扱っただろうかは想像に難くない、所詮は金で買える人間なのだ、金に糸目さえつけなければ自らの快楽のために彼女たちをどう扱おうとも咎められることは無い・・・。
 
 麗子はそこに死の匂いをかいだ、いつか自分も選ぶかも知れない死の匂いを。
 しかし、そんな盲妹たちに一筋の光も見出した。


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