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桃香(tousyan)
【調教 官能小説】

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解放-3

 横田の言う豪農の紹介で桃香の一夜の客となった熊谷は、桃香の全てを確かめた。

 桃香は素晴らしかった。

 小さくて細い身体ながら、そこから発せられる色香はまるでアヘンのよう、溺れてはいけない、遠ざけなければいけないと思ってもつい手を伸ばしてしまう麻薬だ。
 その不幸な境遇を知って不憫に思いながらも、ひとたび桃香に触れれば組み敷いて夢中で腰を振らずにはいられない魔力を秘めている。
 桃香に施された数々の改造は新鮮な驚きの連続、そして彼女の持つ技巧は男を易々と極楽へ導く・・・熊谷は映像を通してすらその魔性の色香、人工の妙は充分伝えられると確信した。
 そして・・・どうしても桃香を、いつか彼女を跡形もなく飲み込んで存在しなかったことにしてしまうであろう運命から助け出したいとも思った・・・。
 
「日本のAVは知っているか?」
「知ってる・・・」
「日本に来てAVに出る気はないか?」
「ここで毎日こうしているよりは・・・」
「家族とは会えなくなるが・・・」
「もう7年会ってないし、これからも会えると思えないから・・・でも、無理・・・私はこの世にいないはずの人間だから・・・」
「書類上はな・・・でも、本当はちゃんといるじゃないか」
「だけど・・・」
「それは任せてくれ、ここの主人にも話をつける」
「日本で暮らす・・・言葉もわからない・・・」
「ちゃんとこっちの言葉を話せる母親を紹介してやろう、ただし、その人は目が見えず、心臓が悪い、娘として世話をしてやってくれるか?」
「ええ・・・」
「彼女も元AV女優でね、私の会社の専属で売れっ子だったんだ・・・そうそう、点字も読めるぞ、うってつけだろう?」
「そんな人がいるのですか?・・・」
「彼女はね、大人になってから光を失った、目が見えなくなると知って、それからどうやって暮らそうか考えなくちゃならなかったんだ、そんな中で盲妹の事を知った、盲妹は知ってるか?」
「知ってる・・・」
「元々水商売しか経験していなかった女性だから目が見えなくなると知って娼婦・・・日本ではそうは呼ばないんだがね、まあ、実質娼婦になることにした、自分から盲妹になる事にしたんだよ、私は偶然彼女を知ってね、君と同じように女優に誘った、心臓を悪くして今はもう引退しているけど、君の話をしたらぜひ娘にしたいと言ったよ」
「お願いです・・・私を連れて行って下さい・・・このままじゃいつか・・・」
「わかってる・・・ちゃんと天からお迎えが来るまで生きたいよな・・・」
「・・・うん・・・・」
 7年間大人ばかりを相手にしていて、丁寧な言葉遣いが身に染み付いていた桃香だったが、最後の最後にまだ17歳の少女らしい、素直で幼い返事を返して来た・・・。

 娼館の主人が出した条件は横田が口にした金額を少々超えるものではあったが、桃香に惚れこんでいた熊谷はそれに応じた・・・横田に仲介してもらえば少しは節約できただろうが、彼をあまり深く巻き込むわけにも行かない。

 横田は必要な書類を揃えてくれ、熊谷は桃香を成田行きの飛行機に乗せることに成功した。

 山中で10年を過ごし、医師の下で5年幽閉され、娼館の中でしか生きる術を持たなかった少女。
 7年もの間、一切の自由を奪われ、ただセックスのためだけに仕込まれ、改造されてきた少女。
 そしていつか闇に葬られる運命にあった、この世に存在しないはずだった少女。

 その少女が今、海を渡ろうとしていた・・・。


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