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飛べない鳥の飛ばし方
【ファンタジー 官能小説】

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痛みと悦び-6


「……わかったよ」

 それでも特別に心配されるのは悪くない気分で、ジルは服を脱いだ。

「っ」

 ジルの身体には真新しい傷が無数にあり、リョウツゥは思わず息を飲む。
 治癒能力が高いらしいが、まだ血が滲んでいる部分などはどれ程深い傷だったのか想像もつかない。
 リョウツゥは口を結んでジルの腕を掴んだ。

「まず、お風呂ですね」

「はいはい」

 もう好きにしてくれ、とジルは言われるがままに風呂場へ向かう。
 脱衣場にも血が付いた服やらが散乱しており、ジルは脱いだ服をそこに投げてから足で押し退けた。
 浴室に入り、シャワーを浴びていると脱衣場からガタガタと音がした。

ガラガラ

「へ?!」

 まさかドアが開くとは思わず、ジルは頭にシャンプーの泡をを着けたまま振り向く。

「あの、洗います」

 もじもじとしながら言ったリョウツゥは、腕捲りしてすっかりやる気満々だ。

「いやいやいやいや」

 おかしいだろう?いったい何の冗談だ?

 ジルは驚いて一歩後退りしたが、お約束通り足を滑らせた。

「うわっ!」

「ジルさんっ」

 後ろに倒れたジルは背中を壁に打ち付けてズルズルと座り込む。

「だ、大丈夫ですか?!」

「大丈夫じゃ……ってっ」

 更に泡が目に入り踏んだり蹴ったり。

「いててて」

「う、動かないで下さい」

 リョウツゥはシャワーヘッドを取ってジルの頭からお湯を流した。

「ごめんなさぃ」

「まったくだ……」

 すっかり泡を流すとジルは何度も目を瞬かせる。
 涙越しにぼんやりとリョウツゥの姿が見え、その近さにギクリと身体が固まった。
 心臓の動きが速くなり、体温が上がる。
 勝手に喉が上下して生唾を飲み込んだ。
 ジルが固まっているとリョウツゥの手がそろっと脇腹を撫でる。

「ッ?!」

 肌を往復するリョウツゥの細い指は、明らかにジルを誘う動きだ。

「なっ……」

「ごめん、なさい」

「?!」

 そろそろと撫でながら謝るリョウツゥにジルは言葉を飲み込む。

「私達、緑の民は、結婚するまで純潔でなくては、いけません」

「っそれは、知ってっけどっ」

 話ながらも手の動きが止まらず、ジルは答えながら息を弾ませた。



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