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不貞の代償
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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享楽1-3

 ふんどしの中に入れた手を引き抜くと片方の睾丸が垂れた。奥まで手を入れてもうひとつ掴み出すと、巨大な塊となって全貌が露わになった。
「ワシが買ってやった服はよく似合うが、うーむ……」正面に立つ奈津子を見つめそれを握りしめる。「もっと体が浮き出る、密着したものがよかったのう。今度見繕って取り寄せるとしよう。好みのものがあったら、カタログから選んでおきなさい」と、岩井は穏やかな表情でグレープフルーツ大のしわ袋をぐにゅぐにゅと揉んだ。海牛が柱時計の振り子のように揺れている。
 岩井の胯間から奈津子の視線は外れているが、うつむき加減の横顔からは驚いている様子は伺えない。まるで見慣れているかのように。
「これでは使い物にならんな。若い頃はお前のような女が近くにいるだけで猛り狂ったのだが、老いたものよ」
 もじもじしている奈津子の顔を笑いながらのぞき込む。
「ワシが昔、柔道をしていたのは話したな。取るに足らん試合で全くやる気なんぞなく、ただ相手を振り回しておったところ、ムキになった相手がいきなり金的を食らわせよった。今のようにルールで雁字搦めではなく、その頃は何でもありだ。油断したワシも悪いのだが、そのときは頭に血がのぼってのう、その相手を半殺しにした。止めに来たヤツらもぶちのめし、そのあとで悶絶したわ。鈍かったのかのう。ほれ、こっち側が半分潰れかかったふぐり玉だ」
 片方を指先で絞りあげる。こぶし大の睾丸が浮き立った。
「ワシに金的を食らわせたその男だが、今でも会合などでたまに会う。だが、そいつとは口をきかん。昔の恨みは引きずるものだのう、無視だ。ん、ガキみたいでおかしいか」
 奈津子は両手で体を抱くようにして首を振る。鏡映る後ろ姿を岩井の視線が舐めていく。
「そいつは萎んだしわくちゃの老人になってしまった。ワシの姿を見るとコソコソ逃げる。昔はあんなに横幅があったのにのう。見る影もない。この世で一番恐ろしいのは時間。これほど残酷なものはない。ワシのようなジジイは嫌か?」
 奈津子は首を振る。
「だったら何をもたもたしている」
「でも今は……このままでは……」
 岩井の顔色が変化した。
「取ってから、すぐに……」
 岩井が立ち上がった。無表情で奈津子の胸ぐらをつかんだ。
「す、すみませ……」
 否や、凄まじい音が響き渡った。突然、強烈なビンタがとんだのだ。悲鳴すらあげられず、奈津子は布でできた人形のように揺れた。つかんでいるワンピースの胸元が伸びる。仁王のような顔で二発目、三発目と続けた。
 無抵抗の女にも平気で暴力を振るう岩井に戦慄を覚えた。他人に暴力を振るわれる妻の姿を目撃することほど辛いことはない。義雄の目から熱いものがあふれた。
 ワンピースがめくれ返り、白いパンティがあらわになった。煌々とした明かりのもとで奈津子の下着姿は殆ど見たことがない。白桃のような臀部は何年も生活を共にした妻とは思えないほど淫蕩に映った。たんすの中で発見した卑猥なパンティのことを思い出す。自分の前だけで身につけさせた、と田倉が言っていた。その言葉を聞いたときは発狂しそうだった。今でも悩まされ続けている。
 パンティから糸くずがたれているのが見えた。岩井が手を離したので、たくし上げられたワンピースが下がり、隠れた。
 ビンタの音は大きかったが、義雄を叩いたときほど力は入っていないと感じた。ある程度は手加減したのだろう。とはいえ、奈津子の顔には手のあとが赤く残った。
「年を取ると気が短くなっていかん」
 怒気をふくんだ声を残して立ち上がる。ドロンと垂れたペニスが太ももを打つ音を響かせ、その場から立ち去った。その滑稽さを、その大きさが凌駕していた。


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