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不貞の代償
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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享楽1-2

 驚くことに下村秘書も岩井のもとで仕事をしているらしい。本当に会社を辞めてしまったのだろうか。引き抜きのようなものか。能力の高い下村秘書であればあり得なくもない。
 電話口で『先生』と叫んだ男とつきあっているのだろうか。下村秘書ほどの女性であれば上流階級の男性とも付き合うことができるだろう。電話に出るつもりはなかったのだが、悪戯心で男がとってしまった可能性もある。
 生まれて初めて暴力を振るわれた。殴られるということは恐ろしいことだと思い知った。叩かれた頬が焼けているようだ。きっと腫れあがっているだろう。もう一回叩かれていたら惨めに小水を漏らしていただろう。体の自由がきいたとしても悲しいかな、力でねじ伏せられていた。赤子の手をひねるように。だったら薬で体の自由を奪うのは何のためか。そんなに夫が憎いのか。
 奈津子は暴力を振るわれていないだろうか。男に対しては暴力的だが、まさか女に手をあげることはないだろう。
 義雄が目の前にいると分かっているのだが岩井はベッドに座って素知らぬ顔で葉巻を吹かしている。ときおりこちらに顔を向ける岩井の視線とは合わない。やはり向こうからは見えてないのだろう。
 ここは岩井の寝室なのだろうか。なぜわざわざこんなものを見せるのか。
 床を這ってでもこの部屋から出ていこう。そう思ったとき、ドアをノックする音が聞こえてハッとした。
「入りなさい」
 突然、岩井の声が聞こえたので驚いた。この部屋にスピーカーがあるのか。
 岩井の視線の方角から、入ってきたのは奈津子だった。
 心臓に鋭い痛みを感じた。本当に奈津子がここにいた。この事実にショックを感じている。奈津子に会うまでは半信半疑だったのだ。同時に岩井の寝室であることに、とてつもない違和感を感じていた。
 岩井のそばまできた奈津子は、何となく落ち着かない雰囲気だった。
 体の凹凸が増して見えるのは着ているワンピースのせいだろうか。初めて見る服だ。こちらに来て購入したのだろうか。出て行ったときよりも少し痩せたような気もする。
「すっきりしたか?」
「はい……」
 消え入りそうな奈津子の声。その声に懐かしさを覚える。すっきりとは、どういう意味だ。
「ずいぶん固かったが、解すのはあと少しでいいだろう。そら、こっちへ来なさい」
 マッサージでもさせているのだろうか。何となく心ここにあらずといった奈津子は促されるまま岩井の前に立った。ワンピースの上から下着のラインが浮いているのが見えて息を飲んだ。生地がとても薄いのだ。岩井が正面を向いたので、広げた両足からふんどしが丸見えとなる。風船のように膨らんでいるのを隠そうとはしない。奈津子の横顔が見えた。頬が上気しているように見える。
「鏡に映して見てもよいか」
 もじもじとした様子の奈津子がうなずくと、岩井はおもむろに股間のそれを握りしめたのである。思いもよらない行為にドクンと心臓が脈打った。
「今ひとつ不調だのう」
 それをグニュグニュともみながら、ゴムボールのように右へ左へと変形させた。
 恥じらうようにうつむく奈津子が揺れる。腰の括れが悩ましい。そんなつもりはないのだろうが、セクシーな動きだった。桃のような形をした臀部にパンティラインが透けている。
 岩井の目がギョロリと動く。奈津子の後ろ姿に視線をあてたのだ。短めのワンピースの裾からストッキングを穿いていない白い足がのぞく。キュッと締まった足首から腰まで岩井の視線が舐めた。向こう側は鏡になっているらしい。
「田倉さんが狂うはずだ」
 言うなり、ずいと、ふんどしをずらした。巨大な海牛のような、焦げ茶色のペニスがだらりと垂れた。
 突然の奇行に血の気が引いた。


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