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【その他 官能小説】

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底辺からの出発-5

そこから事が運ぶのは恐ろしく早かったと思う。


レクサスの男はやはり裏稼業の人間で、連れて行かれた先には、いかにもな怖そうな人だらけのボスらしき男の前。


建物自体は古びた小さなビルの小さな会社って感じだったけれど。


事務所の中に足を踏み入れた途端、暖房がきいているはずなのに震えが止まらなかったのは言うまでもない。


ブラインドの隙間から射し込む西日が後光のようで、そこにでんと構えたデカイ机の前に座る、恰幅のよいおっさん。


ニコニコ笑う恵比寿顔だけど、ものすごい威圧感だった。


社長らしきおっさんの周りで微動だにしない、SPみたいな屈強そうや男達、そしておっさんの隣にはパンツが見えそうなくらい短いスカートの、どえらい美女。


ドラマなんかでみるヤクザの事務所まんまに、俺の膝はガクガク笑いっぱなしだった。


「こいつか御代田の息子か」


ゆっくりとした、低い低い声。


おっさんの目の奥がキランと光ったような気がする。


すると、さっきのレクサスがヒソヒソなにやら耳打ち。


おっさんがひとつ頷く度に、血の気が引いていく。


やはり、まだ一人ぼっちの道を選べばよかったと、少し前の自分を恨む俺。


そんな俺を、おっさんは一頻り舐めるような視線で眺めてから、今度は反対側の隣に立つ美女に耳打ちした。


「了解」


美女はそれだけ言ってニッコリ笑うと、ツカツカこっちに向かって歩いてきた。


その立ち振舞いはホントに優雅で、モデルウォークのように長い脚を惜しみなく晒していて、反射的に生唾を呑み込む。


やがて、彼女は目の前に立ちはだかる。


近くで見ると、ホントにいい女だってよくわかる。


シミ一つない白い肌。華奢な顎。緩やかなアーチを描いた優しげな眉。アーモンド型した、大きな瞳。


それは、俺が今まで出会った女の誰よりもレベルが高くて、今にも殺されるかもしれない、こんな状況だというのに、「抱いてみてぇ」と不埒な思いが過った。



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