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忘れられない時間
【レイプ 官能小説】

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裏切りと凌辱の夜A & 新たな恋の始まり-5

 奈美とアパートを出た後、買い物にも行きたいというので久々に駅近くのデパートをぶらぶらと見てまわった。
 まだバーゲンには早い時期だが、大勢の女性客が流行りの洋服を求めてひしめき合っている。
 見栄えよく並べられたマネキン人形。
 春物や夏物の明るい色合いの洋服が目をひく。
 薄いブルーのワンピースを眺めながら、奈美が肩を落としてため息をついた。
「わたしほら、背が170もあるでしょ? だめなんだよね、こういう可愛い感じのが似合わなくてさ」
「そうかなあ、着たことないだけじゃない? 細いんだし何だって似合うと思うけど」
「ううん、全然だよ。桃子はいいよね、中身はともかく外見は『女の子』って感じだし」
「うるさいなあ、中身が何だって言いいたいわけ?」
「少なくとも、中身だけはわたしのほうが女の子らしいってこと」
 なんだと、失礼な。
 だってほんとのことじゃない。
 小突きあいながらじゃれあっていると、ポンポンと後ろから背中を叩かれた。
「……お客様、店内での喧嘩は他のお客様のご迷惑になりますのでおやめ下さい」
「ご、ごめんなさいっ」
 奈美と一緒に謝りながら振り向くと、そこにいたのはいつものスーツ姿の美山だった。

「あはは! 桃子ちゃん、びっくりした?」
 少し長めに伸ばした髪を掻き上げながらの爽やかな笑顔にうんざりする。
 相変わらずの華奢な体格とスマートな物腰で、女性物の売り場にいてもまったく違和感がない。
 ……空気読んでよ。
 友達といるときに声かけてこないで。
 馬鹿じゃないの?
 あらゆる罵倒の言葉を浴びせかけたいのをぐっとこらえる。
「……どうして美山くんがここに」
「ああ、今日と明日はこのデパートの催事に出店してるんだ。エスカレーターから桃子ちゃんたちが見えたからさ」
「えっと、こちらは……桃子のお知り合い?」
 奈美が戸惑っている。
 ああもう。
 そのまま出会い系の遊び相手のひとりだと言ってしまっていいのだろうか。
 でも賑やかで健全なデパートの中で、そんな話はしたくない。
 桃子が固まっているうちに、美山は仕事用の名刺をサッと取り出して奈美に手渡した。
 とびきりの営業スマイルで。
「自己紹介が遅れました、美山です。桃子さんにはよく店の方に来ていただいていまして」
「へえ、店員さんだったんですね。え、でも紳士服のお店? 桃子が?」
「はい。彼氏さんと一緒に、よくご来店いただいております」
「ああ、ユウくんと。なるほど」
 納得したようにうなずく奈美の肩越しに、美山が軽く片目をつぶって見せた。
 うまくごまかしたでしょ?
 ほめて、ほめて。
 そんな声が聞こえてきそうだった。


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