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忘れられない時間
【レイプ 官能小説】

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浴室での愛撫-2

「もう、どこの殺人現場かと思うじゃない! びっくりさせないでよ!」
「うんうん、すごく悪かったと思ってる。だから奈美ちゃん、もうちょっとだけ小さい声でお願い……」
 目が覚めたとき、桃子は自室のベッドに寝かされていた。
 同じアパートの隣の部屋に住む上原奈美(うえはらなみ)が、目に涙を浮かべて金切り声をあげている。
 彼女は桃子と同じ大学に通う、数少ない友人のひとりだ。
 授業で顔を合わせているうちになんとなく話すようになり、偶然アパートも同じだったのが縁で仲良くなった。
 仲良くというよりも、一方的に奈美が桃子を気にかけてくれているだけ、といったほうが近いかもしれない。
 実家は大きな農家らしく、たまに米や野菜を分けてくれる。
 さっぱりした性格で、細かいことをグズグズ言わないのがいい。
 女性にしては170センチと長身な上ショートヘアにしているものだから男性に間違われることも多いのに、内面は桃子なんかよりもずっと繊細で女性らしいと思う。
 ふらふらと遊び歩いている桃子を知りながら、それを咎めることもなくごく普通に接してくれている。

「玄関のドアは中途半端に開いてるし、床は血まみれだし、とうとう本当に誰かに刺し殺されちゃったのかと思ったんだから!」
 何度も何度も、必死で桃子を揺さぶったのだそうだ。
 大丈夫よ、傷は浅いから、なんて言いながら。
 想像して、思わず笑いそうになった。
 結局、桃子はよく眠っているだけだったし、床の派手な染みはワインだと気付いて脱力したという。
「もう少しで警察に通報するところだったんだから。心配させないでよ、せめてドアは閉めてから寝て」
「疲れてたんだもん……ところで、いま何時?」
「いま? もうすぐ5時くらいじゃないかな」
「夕方の?」
「そう、夕方の。あ、思い出した! 昨日この部屋の前で男の子がずーーっと立ってたよ。それはもう寂しそうに、何時間も」
「……もしかして、背が高くて細くて頼りない感じの?」
「そう。真夜中になっても帰らないから『桃子待ってるの?』って声かけたら、ぴゅーって走って逃げちゃった。あんた、また約束すっぽかしたの?」
 可哀そうで見てられなかったから、せめて電話してあげて。
 そう言って、桃子にスマートフォンを押しつけてくる。
 すでにしっかり充電されていた。
 さすが奈美。


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