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忘れられない時間
【レイプ 官能小説】

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嫉妬と欲望の夜-4

「あっはっは、それは大変だったねえ。まさに修羅場じゃないか」
「もう、笑いごとじゃないよ」
「いやあ、必死に言い訳してる桃子の顔を想像したらおかしくて」
 美山につけられたキスマークの件で怒ったり拗ねたりするユウを一晩中なだめた桃子の話を聞いて、城野英輔(しろのえいすけ)は大いに笑った。
 ひとり暮らしにしては豪華で広々とした3LDKのマンション。
 あちこちにトレーニング機器が並び、ちょっと見た感じはまるでスポーツジムのようだ。
 20畳を超える広さのリビング、その中央にはピカピカに磨き上げられた赤い大きなバイクが飾られている。
 英輔は桃子がこれまでに出会ってきた中で、文句なしに一番カッコいいと思う。
 身長は175前後、体脂肪率が極限まで低そうな引き締まった体。
 鋭さのある切れ長の目に、鼻筋の通った顔立ち。
 栗色の髪はさらさらとして、とても清潔感がある。
 街を歩けば何人でも可愛い女の子がひっかかってきそう。
 本人は興味がないと言うが、モデルだとかアイドルだとかそいういう路線に行けば大成功しそうな気がする。
 十代の頃はバイクのレーサーとして海外でも活躍していたらしいが、事故で右目と右足を痛めたのを機にレースから遠ざかったらしい。
 いまは当時稼いだ賞金を運用しながら、この部屋で好きなことをしながら暮らしている。
 どことなく世慣れた様子と落ち着いた言動から、とてもユウと同い年には思えない。
 知り合って半年。
 もうとっくに見慣れているはずなのに、英輔の笑顔を目にするたび桃子は思わず見惚れてしまいそうになる。
 彼の場合は出会い系など使わずとも好きなだけ女の子と遊びまわれると思うのだが、彼の経歴を知っていたり資産状況を知って寄ってくるような女は嫌なのだそうだ。

「じゃあ、今日もそのユウくんのために帰っちゃうんだ? 泊っていってくれると思ってたのに」
 さほど残念でもなさそうに、ソファの上で桃子の髪を指で梳きながら英輔が微笑む。
 とても丁寧で慣れた手つき。
 隣にいるだけで蕩けてしまいそうになる。
 怖くて聞いたことはないが、きっともの凄い数の女の子がこの部屋を訪れているのだろうと思う。
 来るたびに種類の違う化粧水や香水、ヘアゴムにピアス、様々なものが女たちの手によって置き去りにされていた。
 彼の場合は桃子のような相手が20人くらいいると聞かされても納得できる。
「だめだめ、朝帰りなんかしたらまた怒っちゃう。夜はどうしても一緒にいたいんだって」
 美山の件があってから、ユウの独占欲がまた強くなった気がする。
 前は週に2日か3日程度だったのが、最近はほとんど毎日桃子の部屋に来るようになった。
「へえ……でもさ、昼間とはいえよくココに来れたねえ。そんな彼氏だったら、四六時中一緒にいたがりそうだけど」
「だから彼氏じゃないって。なんかね、よくわかんないけど『束縛したいわけじゃない』らしいよ」
 ユウには独自のルールのようなものがあるらしく、基本的に昼間は桃子がどこで何をしていようがそこまで追求してこない。
 ただ、夜は遅くなってもいいからどうしても一緒にいてほしいという。
 桃子のほうもどうしても他の男と寝なきゃいけない理由があるわけでもないから、ぶつぶつと文句をいいながらもその要求を受け入れている。


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