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スー
【ロリ 官能小説】

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スー-6

 里親はすぐに決まった、熊谷の会社の専属だった元AV女優の美香、デビュー当時は頭にAVがつかない女優で、酒井とも顔なじみだ。
 「そう・・・売春宿に売り飛ばされて・・・酒井さん、そんな目に合わせちゃダメじゃないですか」
 「いや、あの国でならスーだけじゃなくて家族も一生楽に暮らして行けるくらいの金は渡したはずなんだよ、俺もおふくろさんを訪ねて行って売り飛ばされたと聞いてびっくりしてね、思わず買い戻したってわけだ」
 「そういう事なら・・・もうそんな目には会わなくて良いのよ、AVだってスーが嫌なら出なくてもいいの・・・」
 それでは熊谷が困るのだが・・・・。

 スーは優しく抱いた美香の胸で涙を流し、二人は母娘となった。

 そして1年後、スーは予定通りにシネアートからデビューした。
 女優の継母の下で一年過し、スーは日本語も演技も随分と上達していた。
 少しだけアクセントにたどたどしさが残っているのも却って可愛らしい。
 
 浅黒い肌の美しいプロポーション、すっきりした顔立ちに印象的な大きな瞳、そして奇麗な黒髪・・・砂浜で斜めに正座し、こちらを向いてにっこりと微笑むスーの等身大看板がレンタルビデオ店、セルビデオ店に飾られるとたちまち日本中の男達が魅了され、スーのデビュー作は大きなヒットとなった。

 「・・・スー・・・スーなのね?・・・」
 「お母さん・・・・」
 「本当に・・・また会えた・・・」
 「うん・・・あたしも嬉しい・・・」
 久しぶりの母娘の再会を一歩下がって見守っていた美香は思わず涙を拭った・・・。

 「それじゃ、いま、お母さんは一人ぼっち?」
 父親は肝臓を患って半年前に亡くなったと言う・・・スーの稼ぎを残らず飲んでしまった報いだ・・・。
 「もし良ければお母さんも日本に・・・」
 美香の申し出に母親は小さく顔を振った。
 「いいえ、今はあなたがスーの母親なのですからあたしの入る場所はありません・・・あたしはこの国で、この家でスーを待ちます・・・そのかわり・・・」
 「ええ、毎年、いいえ毎年二回はここにスーを連れて参ります」
 「ありがとう・・・あたしはそれで充分・・・」


 それから20年以上が経つ。
 酒井は今でも東南アジアでスカウトの日々を送っているが、スーをスカウトした以上の成功を収めたことはない、今はもっぱらパブの女の子をスカウトして日本に送るだけ、東南アジアの緩さ、猥雑さが性に合っていてこちらに骨をうずめるつもりなのだ。
 10年にわたってAVで活躍したスーは、引退後は義母の美香とスナックをやっていて、本国の母親には今でも年に2回会いに行っている。
 酒井は「スーに良い事をしてやった」などと言う自負はない、スーが成功していなければ自身の零細プロダクションなどとっくになくなっていただろうから。
 ただ、酒井にとってスーが忘れ得ないのと同様に、スーも酒井のことを忘れることは決してないだろう、なぜなら、里帰りの度にスーは酒井にも会いに来るのだから。


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