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大切な…
【悲恋 恋愛小説】

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大切な…-1

暗い…目の前が見えない…なんで俺なんだ…なんで………なんだ…
「もって後一ヶ月でしょう。」「えっ……」信じられなかった。まさか自分が後わずかしか生きられないことが、そしてそれから周りの世界は形を変えた。見えるものがみんな最後になるかもしれないという愛しさと名残り…。
そして俺の一番大切な存在…桜。
余命を宣告されて桜のことを考えた。どうすれば一番彼女に悲しみを与えられないのか…そして…答えはだされた……。

「なに話しって?」なかなか言い出せない…失いたくない、誰よりも愛しているのに…「俺たち…もう…終わりにしよう」言ってしまった、でもこれも彼女の為…「えっそれだけじゃわかんないよ!訳を言って!」彼女の泣きそうな声を聞くと胸が痛くてただ「ごめん」としか言えない。「ごめんじゃわかんないよ!私が悪いとこあるなら治すから…だから別れるなんて言わないで…お願い…」泣き崩れる彼女を見ると涙が溢れだし自分で我慢していた部分が崩れ落ちた。「桜が悪いわけじゃないんだ!!……俺…癌なんだ…見つかった時にはもう手遅れで…あともって一ヶ月なんだ…」涙がとまらずその場に座り込んだ。「桜には幸せになって欲しい、俺には幸せにしてあげる時間も力もない…頼むからわかってくれ…」

それからどれくらい時がたったのかどうやら俺はそのまま寝てしまっていたみたいだ。
部屋を見渡すが人の気配はなくただ俺にかけられている毛布が桜の最後の優しさのように感じた……。
全て失った脱力感と己の無力さで枯れたと思っていた涙がまた溢れてくる。『俺ってこんな泣き虫だったんだな』一人でそんなことを思いながら玄関の方を見るとドアが開いて見慣れた顔が目に飛び込んできた。
「あっ起きてたんだ☆買い物に行ってたんだ♪なんか作るね♪」いつもと変わらないその笑顔に俺は呆気にとられてしまった。
「…なんで……?」言葉にならずそれしかでてこなかった。
「私考えたわ…あなたが私の為に別れようとしてくれたこともわかったし、あなたの病気の事もこれから理解していくつもり…だから残りのあなたの人生を私と一緒に歩いていって欲しいの…あなたが好きだから最後まで見つめていたい!」
…ここまで思ってくれているとは思わなかった。俺は大切な人を最期に失ってしまう所だった。
「桜…ありがとう…」愛しい人を強く抱き締めた。そして残りの時間で思い出をたくさん作りたい……。

END


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