衛星和誌　−Ｑカップ姉妹−

【SF 官能小説】

ナディーカ語り（１）-1

　わたしは、翡翠の姫。スガーニーの王位に座り、その全領土を統べる最高指導者。
　遅滞する文明の改革者。この辺獄の闇に光をもたらす宝玉。
　しかし、悩みがある‥‥。
　コンジャンクション前半部が終わり、休憩に入ると、わたしは控室に使っている玉繭（たままゆ）の間に向かった。ムヴグリで移動していると、わたしを呼ぶ聞き慣れたハスキーな声がした。
「ナディーカさま‥‥！」
　振り向かずともわかる。わが忠実なる護衛隊長にして、頼もしき片腕でもあるジェニーだ。
　わたしは、日頃、移動にムヴグリを使うことは少ない。王位というわたしの地位・業務（しごと）の故でもある。己が移動するのではなく、移動してきてもらうのだ。そのほうが効率がよいのだから。
　こちらから動くにしても、おもな仕事場である執務室からは、廊下へ出て左右どちらに進んでも、同じ形のＬ字型の通廊の角に出る。そこには、途中でルートが合流し王宮内の各所へと行ける、わたし専用の移動椅子（ムヴチェア）が待機しているのだ。このムヴチェアで、必要であれば平常時でも、二回の乗り換えで、三日前にオイオの連中が到着したステーションのプラットホームまで行くこともできる。そして、幸いにしてそのような事態は起こったことがないが、緊急時には一回の乗り換えでそこまで行けるようになっている。さらに、この機能はあまり使おうとは思わないが、外まで出ずとも、執務室のチェアそれ自体も、単独で階下の専用スペースに降下できるようになっていた。
　前半の調教が終わり、各種機器類のチェックをジェニーに任せ、わたしはゆったりと玉繭の間に向かっていたのだが、忠実なるジェニーが一般の規則では速度違反にあたるスピードでムヴグリを動かし、わたしに追いついてきたというわけであった。
（――わずかの間でも、ナディーカさまを護衛なしにはさせられません‥‥！）
と、その顔に書いてあった。
（ほんとうに、忠実な番犬‥‥）
　わたしも声に出さず――顔にも出さず心のなかで――つぶやく。必要以上に身を寄せてくる、わたしより大きな体躯の彼女。その、わたしよりずっと力強い腕は、いざというときには外敵からわたしを守ってくれるだろう。
（でも、この人も、女‥‥）
　淡いブルーのシャツの胸の、やはりわたしよりずっと大きなおっぱいを眺めやりながら、わたしは考えてもいた。
（あの大きなおっぱいは、やっぱり彼女の体の他の部分みたいに固くて、そして、性格みたいに鈍いのかしら‥‥）
　わたしは、普段からの想像をめぐらせる。口にしたことはない。が、彼女を見るたび、そう思っていた。毎日‥‥。
（それとも、意外にやわらかいのかしら‥‥。そして、弱くて感じやすくて‥‥。屈強なあの女（ひと）も、あのおっぱいをさわられ、舐められ、揉みしだかれると、過去の映像で見た女たちみたいにアヘアヘ喘いだり、リリィみたいにそれだけでどんな命令でも聞いてしまう、おっぱい奴隷ちゃんになってしまうのかしら‥‥）
　もちろん、リリィには敵わない。リリア・ザ・パーフェクトには。それは、彼女（ジェニー）も、わたしへの追従なしに同意するだろう。
（でも‥‥。コンジャンクションが終わった後で、落ち着いたら――）
　わたしは考える。未来の地図がまたひとつ、おぼろげながら形をとって現れてきたように思えた。
（あのジェニーのおっぱいをじっくり攻略してみるのも、いいかもしれないわね‥‥。もちろん、難しいことだけれど‥‥鍵は、ある――）
　彼女は気がついていないようだ。今回のコンジャンクションで、わたしが、二組の姉妹を手に入れることになるのを‥‥。
（あのお姉さん――ジャニス・プラスケット、だったわね‥‥。リリィとあのルリアもそうだけれど、姉妹で、ああも違うものなのかしらね‥‥）
　わたしは、オイオの三人の女のひとりを思い出していた。
（おっぱいはなかなか‥‥）
　三日前に提出させたエントリーデータには、一一〇センチのＮカップ、とあった。あのルリア、また同じメイドのリリィほどではないが、標準以上の巨乳であることは、間違いない。じゅうぶん、揉みでがある。そして、これはわたしの勘、というより人間観察だが、あのジャニスとかいう女、職務に忠実そうな印象を受けた。いまは、オイオの一員としてわたしとは敵対する立場にあるが、コンジャンクションでその大義を屈服させ、後に一、二度のきつめの調教によってカラダを屈服させ、乳奴隷として見合った仕事を与えれば、わたしのためにもよく働くのではないかと思えた。
　そういう人間は、いる。そしてわたしの手には、この実妹のジェニーという餌もあるのだ。
（さて、どう絡ませよう‥‥）