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籠鳥 〜溺愛〜
【女性向け 官能小説】

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33章-2


 体の前で握られた両手が小刻みに震えていた。

「美冬は周りとの調和を必要以上に大事にする子だと分かっていた。きっとご両親が亡くなられているからだろうね。だから私は君のそこに付け込んだんだ。
 美冬は私のことを愛していると言ってくれた……私が美冬を開放するのに難色を示せば、君は自分から出ていくことはないと思ったんだ」

 鏡哉の声が震える。

「許してほしいとは、言わない。許してもらえるとも思っていない……ただ、ずっと謝りたかった。申し訳なかった――」

 鏡哉の懺悔を聞き終え、項垂れている彼を見て、美冬は彼が泣いていると思った。

 心で泣いていると――。

「………っ」

(ああ、この人はなんて不器用なんだろう……口にしてくれるだけでよかった。君を失うのが怖いと言ってくれるだけでよかった。そうすれば、私は何度でも言葉にしただろう――)

「貴方を愛しているから、私は貴方を一人ぼっちにはしない――」

 美冬の発した言葉に、鏡哉がゆるゆると顔を上げる。

「そう何度も、鏡哉さんが分かってくれるまで何度も、私は言葉にすべきだった……」

(それなのにいつも恥ずかしがって、どうでもいいことばかりを口にしていた。貴方の心の闇に気づいてあげられもせず……)

 自分を救ってくれた愛している従妹を一瞬にして失ってしまった鏡哉。

 鏡哉は自分より年上で、いつも大人だったから美冬は甘えることしか出来ていなかったのだ。

「美冬……」

 美冬の言葉があまりにも意外だったのか、鏡哉が当惑した表情で見返してくる。

「だから、謝らないで鏡哉さん」

 美冬はそこで言葉を区切ると、鏡哉をしっかりと見つめてふわりと微笑んだ。

「少なくとも私にとって、一緒に過ごした時間は今でも宝物です」

「―――っ!」

 美冬の言葉に目を見張って息を飲んだ鏡哉だったが、握りしめていた掌を開きその中に端正な顔を埋めた。

 まるで泣いているようなその姿に、美冬は焦って言い募る。

「っていうか、最終的に私は鏡哉さんの元から逃げました……謝らなければならないのは私のほうです」

 それも理由も告げず、ひどい手紙一つを残し。

 あの手紙を見てどれだけ鏡哉が傷ついたろうと想像するだけで、美冬も泣きそうになる。

「違う。君が目を覚ましてくれたからこそ、今の私たちがある」

 顔を上げた鏡哉がきっぱりと美冬の言い分を否定する。

「君は、いつも私を救ってくれた……そして今も私を救ってくれる――」

 鏡哉の瞳が潤んでいた、泣きたいのに泣けないようなその表情に美冬の瞳から涙が零れる。

「わ、私……ずっと信じてた。鏡哉さんなら分かってくれるって信じてた――」

 手紙の中に込めた、本当の自分の気持ちを。

「私も信じていた」

 鏡哉が美冬に答える。

「手紙を貰って直ぐは君の気持に気づけず、君を探させたけれど……けれど思い出した、美冬が愛していると言ってくれたことを……だから信じられた――」

 美冬がこくりと頷く。

「今も、信じている。だから――」

 鏡哉が言葉を区切り、美冬の頬を濡らす涙へと指を伸ばしそれを拭う。






 
「結婚してほしい――」








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