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籠鳥 〜溺愛〜
【女性向け 官能小説】

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32章-2


 心底呆れた表情で鏡哉を見てきた高柳に「ナニしかやってない」とも言えず、鏡哉は無視する。

(二十代後半の健全な男子が、三年半も愛している女を抱けなかったんだ。我慢できなくて当然だろう)

 心の中でそう自分を擁護しながらも、唇からは静かな嘆息が漏れる。

(躰だけ手に入れても心を貰えないと何にも手に入れていない……その事を嫌というほど三年半前に思い知らされたというのに、自分はまた同じ過ちを繰り返してしまった)

 ただただ本能に抗えなかった。

 大学から出てくる美冬を見つけたとき、心臓が止まるかと思った。

 季節外れの雪がチラつく中、白いコートに身を包んで寒そうに白い息を吐いていた美冬。

 その顔は三年半前の可憐なものとあまり変わらなかったが、纏っている空気が大人へと変わりかけている途中の危ういアンバランスなものだった。

 自分の声を聞いた瞬間に掌からすべり落ちた彼女の携帯電話を握りしめた時、そんなものではなく目の前の小さな彼女の体を抱きしめたい衝動に駆られた。

 鏡哉の前で彼女は言葉少なだった。

 呆然と見つめてくる彼女の感情が見えなかった。

 三年半ぶりに鏡哉が会いに来たことに対するただの驚きだったのか、それとも、何故今になって過去の女に会いに来たのだという困惑だったのか。

 しかし美冬は待ち合わせの場所に現れてくれた。

 年甲斐もなく横に座る美冬に緊張しながら車を運転し、自分のマンションへと向かった。

 部屋に入る直前まではちゃんと話をしようと思っていた。

 過去の自分の過ちを謝り、もし彼女が自分の事をもう思っていなくても、大学の学費を融資する約束だけは取り付けようと思っていた。

 しかし玄関に入った途端、そんな考えはすぐに吹っ飛んだ。

 ただ目の前の彼女に欲情した。

 会いたかったと涙を流してくれた美冬が愛しくて、折れそうな彼女の体をさらに抱きしめて唇を奪っていた。

 その後のことはあまり覚えていない。

 何度も美冬を奪い意識を失っている彼女を風呂に入れた頃、ようやく我に返ったくらいだ。

 結局その後もくたくたになるまで彼女を抱き続け、結果美冬は今マンションで寝ている。

「まったく、頼みますよ。せっかく日本に帰ってこれたのに……」

 そうぼやいた高柳の言葉に鏡哉は思考から現実へと引き戻される。

 恨めしそうにこちらを見てくる高柳に、鏡哉はふんと嗤う。

「インドへ行くときは一緒だからな」

 にやりと唇の端を歪め意味ありげな視線をやる。

 これは仕返しだ、アメリカでゲイだと誤解される原因を作った張本人への。

 高柳は「ああ゛〜、せっかく合コンでいい子見つけたばっかりなのに!」と天を仰いだが、鏡哉は「34にもなって合コンするな」と冷たく言い捨てると瞼を閉じた。










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