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THE 変人
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病名-1

 海斗と出会う事により瀬奈は変わり、海斗への自分の気持ちを知る事により幸代も変わった。また幸代と瀬奈に出会う事により海斗も少しずつ変わっていくのかも知れない。人の為に何かしたい…、その気持ちが人間を成長させるのである。
 中でも幸代は社員全員が口を揃えて変わったと言われた。今までは返事一つにしてもどこか人間味のない冷たさを感じたが、最近では雰囲気がガラッと変わった。一番の変化は話しやすくなった事だ。社員達はそれを海斗効果と見ていた。会話に温もりを感じるようになると全体的に可愛らしくなったような印象を与えるのだから不思議だ。角がとれた…、簡単に言えばそんな感じだった。
 しかしどうやら海斗から余計な事も学んでしまったらしい。昼休み、知香と聡美とランチに出かけた。最近は良く会社から出て近くのレストランにランチをしに行く事が多い。それは食堂では話しずらい会社の話題を気にせずにおしゃべり出来るからだ。もっぱら恋話が多い。
 「知香ちゃんは一体誰が好きなの?」
社内で人気がダントツで一番の知香が誰が好きなのかは興味あるところだ。どんな誘いもなんとなくかわし続ける知香の本心は知りたい。
 「え〜?私??私は今は誰とも付き合いたくないから。」
 「どうして?知香ちゃんなら選り取り見取りじゃん。」
 「そんな事ないよ。それにほら、前に襲われそうになった所を海斗さんに助けて貰ったって話、したでしょ?それは会社の人じゃないけど、でもなんかそれで怖くなっちゃってさ。軽く男性不信なの。」
 「そうなんだ…。」
アイドル以上に可愛いのにもったいないなと幸代は思う。
 「聡美ちゃんは…!」
聡美は割とサバサバしている。知香が遠慮して言わなかった事をズバッと言う。
 「私は海斗さん好きだよ?」
 「えっ…?」
ハッキリと言われるとドキッとしてしまう。知香は直球勝負的な聡美の言葉に焦っていた。
 「なんか惹かれちゃうのよね、あーゆー人って。予測不能でしょ?だから一緒にいたら楽しい事いっぱいありそう。」
 「…」
楽しい事というよりは、確かに驚きはある。釣りに行って自殺志願者を釣り上げるなど凡人ではなかなか経験できない事だ。聡美の言っている意味は分かった。
 「強いて言えば…私もかな。って、前に言ったよね。」
知香も参戦してきた。聡美も知香も海斗が好きな事は知っている事だ。しかし目の前で改めて言われると動揺してしまう。
 「でもね、海斗さんは私達に興味ないよ。だからいつも一緒にいて構って貰える幸代ちゃんが羨ましい。ま、私達は好きっていうか憧れね。私達は応援してるよ?ね?」
 「うん。」
聡美の言葉に知香が頷く。以前の幸代ならきっと2人の言葉を完全には信じられなかったであろう。しかし今は信じられる。それは幸代自身が変わった証拠でもある。
 「海斗さんの想いを一身に受け止められて、そして飼い慣らせるのは幸代ちゃんしかいないよ。頑張ってね!」
 「ありがとう。」
照れ臭さから憎まれ口を叩かずに素直にありがとうと言えるようになった幸代に、聡美も知香も嬉しさを感じたりしている。


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