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心も抱きしめて
【女性向け 官能小説】

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繁華街を抜けるとき、特設のチョコレート売り場を見て
「ああ、バレンタインも近いのか」
と思いだす。

先週会った時、冗談半分にチョコを欲しいと言われたんだっけ。
ほんの数日前なのに。
遠い昔の様で、切なくなるけど。
私の勝手な感情だ。

その証拠に今週は1回も石島さんから電話もメールもない。

小さいチョコを1箱買って
手紙とともにマンションのポストに入れた。

カンッと小さく音を立てたそれは
きっと衝撃で角が潰れたかもしれない。
ごめんね。綺麗な状態で渡す事が出来なくて。

ごめんね。綺麗に終わりを告げられなくて。

そう呟いて、私はマンションから離れた。

この年まで仕事を頑張ってきて。
石島さんはそのご褒美だと思う事にする。

もともと接点なんかなかったはずの人だ。
毎年の新年会でも、めったに話したことなんかない。

たった数日の関係だったけど。
楽しかったな。

そう思うと、もらうはずじゃなかったプレゼントをもらったようで。
うん。良かった。

何もない方が良かったとは決して思わない。
それだけは胸を張って言えるよね。




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