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愛しているから
【青春 恋愛小説】

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離れて行かないで-7

ある程度息が落ち着いた所でゆっくり起き上がった俺は、沙織の顔をそっと覗き込んだ。


「……顔色はよくなったかな」


沙織は元々色白だから、普段から顔色があまりよくないように見えるけど、こうして明かりの元で注意深く彼女を見れば、血色がよく見えた。


そして、スースーと静かな寝息。


さっきまであんなに苦しそうに顔をしかめていた彼女が、穏やかな顔で目を閉じている様子にホッと胸を撫で下ろした。


横向きで眠る彼女の顔に、長めの前髪がパラリと垂れていたから、そっと耳に掛けてやると、急に胸が苦しくなってそのまま沙織に背を向けた。


沙織の前髪に触れるのは、キスの合図みたいなもんで。


今もまた条件反射のように顔を近付けてしまったのだ。


もう俺にはそんなことをする資格なんてないってのにな。


前髪をかき上げて、ゆっくり目を伏せる彼女にそっとキスをして。


コツンとおでこをくっつけたときに照れたように笑う沙織が愛しくてたまらなかった。


……なんで俺は、こんな大切なものを手放しちゃったのか。


一息つくと、また頭の中は後悔でいっぱいになって涙が出そうになる。


距離はこんなに近いところにいるのに、すっかり心が離れてしまった沙織がとても遠く感じた。


側にいるとやっぱり好きな気持ちが込み上げてくるから、こんな風にウジウジしちゃうんだろうな。


沙織の様子も落ち着いてるみたいだし、部屋の外で救急車を待っていよう。


ドアの外にいれば、何かあってもすぐに来れるし、何より俺も辛くない。


そう決めた俺は、


「沙織、俺は部屋の外にいるから。救急車ももうすぐ来ると思うから、もう少しだけ我慢しててな?」


と、立ち上がった。








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