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心も抱きしめて
【女性向け 官能小説】

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9時を少し過ぎたころ、無理やり仕事を終わらせて
駅まで走った。

美香からはからかいのメールが入っていた。

「今日は家に携帯を忘れちゃった。帰って見たら石島さんから着信があったよ!
由香里の事?」なんて呑気だ。

石島さんが美香の連絡先を知っていたのは驚きだった。
でもそのことには触れていなくて。
今度会ったときに聞きだしてやる!

改札に着くと石島さんがすでにいて
私の息が落ち着くのを待ってくれた。

そっと差し出された手を躊躇して見つめ返せば
「俺からのスキンシップになれてよ」
と、強引に手を握って歩きだした。

「手を握ったりするの苦手?」
そう聞かれて考えてみると
今までの彼とはそんなにべたべたした記憶もない。

「俺の手に慣れて」

そう言ってギュッと私の手を握ったあと
指と指をからませる握り方に変えた。

良い年をした会社員同士が、お互いにスーツで
指をからませた握り方で歩くという行為に
恥ずかしくて嬉しくなった。

ほんの少し歩いて着いたビルの最上階で降りて
そのまま慣れたように1番奥のお店に入った。



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