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tactics
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remnant-1

いつからか、携帯の着信画面を見る度落胆する自分に気付いた。
アイツから、もう二度と電話はかかってこないはずなのに。
今抱き締めている温もりも、香水の匂いも違うのに。
全てが、違うはずなのに。
「……おはよ、シュウ」
「……はよ」
ピーチブラウンに綺麗に染められた髪を掻き上げて、挨拶代わりの口付けを落とせば、彼女は照れくさそうに微笑む。
俺が携帯のアドレス帳からこの女を選んだのは、こんな風に可愛らしく微笑むからなんかじゃない。
太くもなく、かといって細すぎない、そんな理想的な体型にでもない。
アイツと同じ茶髪だという事。
それが、選ぶ基準。
「シャワー浴びてくるね」
「あぁ」
アイツと別れてから、俺は色んな女の部屋に転がり込んだ。
ここで三部屋目になる。
風呂場から聞こえるシャワーの音をBGMに、俺はこの部屋から出て行く準備をする。
滞在期間はきっちり一週間。
それ以上長くても短くてもいけない。
余り長く居すぎれば付き合わなければならなくなるし、短すぎれば相手に期待をさせれなくなる。
「やっぱり私は只の都合の良い女だったのね」と。
それじゃあ駄目だ。次がなくなる。
玄関の扉を音を立てないように静かに閉めて、俺は三部屋目から立ち去った。



次は誰にしようか、と思案しながら俺は携帯のアドレス帳を開く。
歩く度に、ネックレスのチェーンとチェーンに通された二つの指輪がぶつかり合いカチャカチャと音を立てるのが、
少し、心地良かった。


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