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そして16年目の恋模様(クラス1-AB)
【女性向け 官能小説】

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友人として、そして岳父としての願い-2

「そうか。なら話は早い。お前、昨日、千尋のことを好きだと言ったが本当か?」

「ああ、好きと言うより愛してる。オレもそれを言おうとしてたんだ」

「愛してるだと。千尋はまだ16だぞ。お前、どうするつもりだ」

ここが勝負どころだ。千尋もそれを感じて、オレの手を握ってきた。

「もちろん、結婚を前提に交際したい。千尋が高校を卒業したら結婚したいと思ってる」

オレはハッキリと意思を伝えた。

「お前が?年中ふらふらと付き合う相手を代えているお前が?」

痛いところを突かれた。しかし、これを乗り越えなければならない。

「正直に言う。今まで心から好きになった女が居なかったんだ。近すぎて気付かなかったが、それが千尋だったと一緒に住んで初めてわかったんだ」

自分にも嘘をついた。しかし、もう知子のことは忘れた。

探るような慎吾の視線が痛い。

「まあ、とりあえず、そう聞いておこう」

「で、どうなんだ。親として許してくれるのか?」

オレは性急に答えを求めた。そんなオレの焦りを知ってか知らずか慎吾はそれには答えなかった。

「今度はオレの話をする」

伝えたいことは言った。慎吾の返事は気になるが、取り敢えず、慎吾の話を聞くことにした。心配顔の千尋が、伺うようにオレの手を握る手に力を入れたが、オレはそれに応えて『もう少し待て』と握り返した。

「実は入院する前、千尋からお前への思いを聞かされていた」

「本当か?」

驚いたオレは千尋に振り向いた。

「うん、でも反対されたの」

千尋が辛そうな顔をしながら答えた。

「当たり前だろ。相手は浩太だぞ。倍以上歳が離れてるし、どう考えてもあり得ない」

慎吾の口調が強くなった。オレは血の気が引く思いがした。それは千尋も同じで、オレの手を握る手が震えていた。その2人の様子を見ながら慎吾が続けた。

「と、思ったが、入院してから考えを変えた」

「どういうことだ」

オレの問いに答えず、慎吾は枕の横に置いていた封筒をオレに差し出した。

「何だ?」

「見ればわかる」

オレは促されるまま、封筒の中を確かめた。

1通の書類が入っていた。オレはその書類を見た瞬間、見開いた目を慎吾に向けた。

オレの様子がおかしいので、千尋もその書類を覗き込み、またオレの手を強く握り締めた。

「こ、これはどういう意味だ?」

「見ての通り、婚姻届けだ。親権者としてのオレの署名捺印済みだ。お前がその気なら2人のサインと判子でお前達はめでたく夫婦だ」

「一体どうして…」

これはオレが望んでいた答えだ。いや、それ以上だ。これだと千尋の卒業を待つまでもなく直ぐにでも結婚ができる。しかし、オレは自分の望んだ以上の答えを前に、何故か違和感を覚えた。

「話は単純だ、これはオレがオレのために導いた結果だからだ。だから、今、改めてお前の気持ちを聞いて気が楽になった」

「何を言ってるんだ。わかりやすく言えよ」

「オレはこれから投薬と放射線治療に専念する。これがかなり辛い治療らしい」

慎吾の話は要領を得なかった。

「大丈夫なの?」

千尋が心配顔で聞いた。

「ああ、大丈夫だ。これを受ければ劇的に容態が改善されるそうだ。しかし、心に懸念を持ったままで辛い治療をしたくない。もし、中途半端の状態で治療を始めた時のことを考えた」

慎吾がチラリとオレを見たので、オレは続きを促した。



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