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脅迫文=恋文?
【コメディ 恋愛小説】

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白雪の問題=憲の問題-4

「……濡れるぞ」
「……仕方ないよ、傘忘れちゃったしな」
他愛ない会話でも、アタシの心は喜びでいっぱいになる。
「………あ、あのな、憲」
「白雪、今は話したくない。白雪が俺を想って黙っててくれたのはわかってるけど、気持ちの整理がついてないんだ。今、その話をしたら、俺は何を言うかわからない」
「……………うん」
憲にそう言われては、アタシは何も話せない。
『ごめんなさい』の一言がこんなに言うのが難しかったなんて。
「……ほら」
「え?」
少しの沈黙の後、憲はアタシに傘を差し出した。憲が好きな青色の傘。
「使え。俺が濡れて帰る」
「だ、駄目だ!そんな事ならアタシが濡れて帰る!!」
「……じゃあ、これは捨てて帰る。誰が使っても文句はないからな」
そう言って、憲は傘をその場に落として、そのまま止める暇も無く、雨の中を走っていってしまった。
「………仕方ない。拾っておいてやるか」
ここは憲にのせられてやろう。それで、明日返そう。
その時、もう一度……憲と話そう。
そう思って、アタシは青い傘を灰色の空に向けて広げた。
明日は晴れたら良いな。
次の日。
昨日、望んだ様に晴れた。
が、アタシの心は曇りマーク。なんせ、憲がいないのだ。
朝来たら、いつもは机で寝てるのに、今日は何故かいない。
どうしたんだろう……。
考え込んでるうちに教師がやって来た。
むぅ?教師も知らない様だ。首を傾げてる。
わからん。大丈夫だろうか……。
高坂に聞いてみるか。
「高坂、憲は?」
「風邪だって」
風邪!?
あ、アタシのせいだ。昨日、憲がアタシに傘をくれたから………。
「放課後に行ってみるけど、来るか?」
「行く!行くぞ!!」
「わ、わかった」


「で、なんで麻衣達もいるんだ?」
放課後……憲の家に行く道のりにアタシと高坂以外にいつものメンバー。
「あら、良いじゃない。アタシ達だって、いろいろ心配だし」
「そうそう、憲はただでさえ俺の不出来な妹がいろいろと心労かけてるのにその上、風邪こじらせるなんて、これは見舞いに行くべきじゃないか!」
「じゃあ、なんでそんなに楽しそうなんだ?」
「楽しそう?失敬な!これは暗い雰囲気を和らげるためだ」
…………怪しい、怪しいぞ。だって目が笑ってる。
アタシはこの目を何度も見た。アタシ達をひやかすネタを掴んだ時みたいだ。
「ま、まぁまぁ、そんなに険悪な雰囲気でお見舞いするのも……」
「そうだぞ、白雪。八木さんの言う通りだ」
……………。


「あらぁ、こんなに大人数でお見舞いされるなんて、あの子、結構人望あるのね」
「本当ねぇ」
憲のお母さんと梓さんがアタシ達の人数を見て、目を丸くした。
五人だけど、そんなに驚く事なんだろうか?
「まぁ上がりなよ。それにしても、独が来るの久しぶりじゃない?」
「はぁ、そうッスね」
どうやら高坂は梓さんと面識があるみたいだな。確か、小学校以来の付き合いらしいから、当然か。
「白雪ちゃんも、久しぶりね。しばらく来てなかったけど、喧嘩でもした?」
「う……」
痛い所を突かれた。
「あらら、図星?ゴメンゴメン」
アタシの顔を見て、梓さんは苦笑いした。


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