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脅迫文=恋文?
【コメディ 恋愛小説】

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白雪の問題=憲の問題-1

今日も平和に授業が終わった。
首を捻るとゴキゴキ鳴る。年寄りくさいなぁ……。
下駄箱に向かって歩く廊下……横には憲。
幸せだ。
だが、そんな幸せを粉砕してくれる爆弾がアタシの下駄箱に入っている事をアタシはまだ知らなかった。


『白雪の問題=憲の問題』


たわいない会話をしつつ、下駄箱についたアタシ達は各々の靴を入れた棚へと手を伸ばす。
憲は左端、アタシは右端で必然的に少し離れる。
下駄箱を開けて、中を見たアタシはその僅かな距離に少し感謝したくなった。
下駄箱には白い便箋が入っていた。これで今月になって31通目だ。アタシの棚は何時から郵便ポストになったんだ!?
とりあえず、入っていた物をポケットに押し込む。こんなもの、憲に見られる訳にゃ、いかんのだ。
「け、憲」
「ん、どうした?」
「わ、悪い。先生に呼び出されたの忘れてた」
あぁ、罪悪感……。アタシは憲に嘘をついている。
「……わかった。じゃあ待ってるよ」
「いや、そのなぁ、進路の事だから、長くなるかもしれないし……」
「別に良いさ。図書室にでも行ってるから」
………これ以上言うと、憲に疑われるかな?仕方ない、たぶん大丈夫だろ。
「わかった。終わったら、行くよ」
そのまま憲と別れて、職員室に行くと見せかけトイレに入る。
個室に入り、鍵を閉めて例の物を取り出す。
はぁ……
溜め息まじりに開いて、中に書いてあった文章を読む。
『突然の手紙を許してください。
矢城先輩の事が好きです。
放課後に校舎裏でお待ちしてます。
その時に返事を貰えると嬉しいです』
と書いてあり、その下に一年五組の文字と差出人の名前が書いてあった。
………またか。
あぁ、もう!!何だってこう毎日の様に男共(後輩率100%)からのラブレターが来るんだ!?
アタシの事をよくも知らなくて、容姿しか見てない癖に!!
いや、上の文章は自惚れでは無いぞ。昔からアタシの外見で言い寄ってくる輩が多かったんだ。
去年も今年程じゃなかったが、来た。
とは言っても、そのすぐ後にアタシが憲にラブレターを送って、付き合い出した事が学校中に広まって途絶えた。
が、今年入って来た後輩共はそんな事は知らない。
まぁ、中には知ってるヤツもいるだろう。ラブレター送って来たヤツの中には、アタシに恋人がいるのを承知で送ってきた上に断ったら、腕ずくでモノにしてやる、とか言いながら襲いかかってきやがったので、文章にできないぐらい手加減抜きで叩きのめした。
それに比べて、今日のは、まぁ…丁寧な文章だ。
断るのは面倒だが、断る以外に術はない。
え?無視すればいいじゃないか、って?
まぁ、それは確かに手っ取り早いが、それは相手の想いを踏みにじる事になるじゃないか。アタシもラブレターを送った時、来なかったらどうしよう、と不安だった(まぁ、今、考えればアレで憲もよく来たよな、と我なから思う)。
だから、こういう勇気のいる行動をした人間には、多少面倒臭くっても直接断るのが、礼儀ってもんじゃないか?
……はぁ、まぁいいや。とりあえず、憲を長く待たせる訳にはいかん。
さっさと済まそう。


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