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劇場版『Chocolate Time』 第1話 わくわくパートナー交換
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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プロローグ-5

 ここはとあるビルの7階にあるアダルト小説家、神父尊のオフィス。薄いピンク色の壁に囲まれた約6b四方のほぼ正方形の空間には、向かい合って6人が掛けられるミントグリーンのソファと明るいオーク材のセンターテーブル。簡素な流し付きの白いキャビネットと小型冷蔵庫、窓際にはノートパソコンが置かれたデスクがあった。

「あははは!」神父尊は高らかに笑った。「そう、修平君、そんな夢を」
 彼は夏輝と修平の前にコーヒーカップを置いた。
「とんでもないヤツだと思いません? 神父尊さん」夏輝が身を乗り出して言った。
 夏輝の横で、修平は赤く腫れ上がった両頬に手を当てて、上目遣いで神父尊を見ていた。神父尊はその修平の視線を受け止めながら言った。
「修平君の夢の話でしょ? 夏輝ちゃん、そんなに怒らなくても」
「いいえ。こいつが心の中でそんなスケベなこと考えてるって証拠です」
「修平君は、真雪ちゃんを抱きたいって思ってるわけ?」
 修平は恐る恐る口を開いた。
「そ、そりゃ、あんだけの巨乳だし……」
「いやらしいヤツっ!」夏輝は、そんな修平の横顔を見ながら吐き捨てるように言った。
 隣の修平は背を丸めてうなだれていた。

「こいつ、夢の中で真雪の口の中にぶっ放すわ、バックから襲いかかって中出しするわ、もうやりたい放題!」
「なんで修平君の夢の中身がわかるの? 夏輝ちゃん」
 夏輝は修平を横目で睨んだ。「こいつ寝言までおしゃべりなんです。『出る、出るっ! 真雪! 口に出すぞ! いいな!』『やっぱバックは最高だぜ、真雪、あ、出るっ!』『も、もう止まらねえ! イ、イくぞ、中にっ! 真雪!』」
「あははは! 修平君、やましいこと絶対にできないね。寝ていてもそんなにあれこれ口走るんなら」

「昨夜なんか」夏輝が心底軽蔑したように言った。「真雪に変態穴あきスクール水着着せて、嫌がって拒絶しているのに構わず中出しした上に、泣き出した真雪に欲情して無理矢理口に突っ込んでまた出して放置っ!」
 修平は反抗的な目を夏輝に向けた。
「放置なんかしてねえ! あ、あれは意識的にやったんじゃねえよ。おまえに叩き起こされたから結果的にあの時点で、」「あたしが起こさなかったらもっとひどいことしてたんじゃないのっ?」夏輝はたたみかけるように言った。
 修平は再び肩をすぼめ、口を閉ざして飼い主に叱られた子犬のような瞳で夏輝を横に見た。
「この鬼畜っ!」夏輝は真っ赤な顔で修平を睨み付けて吐き捨てるように叫んだ。

 修平は小さく震えながら小さな声で言った。「なんか、だんだんエスカレートしてて……おかげで俺も……最近寝覚めが悪いんす……」
 神父尊は気の毒そうに修平を見た。「それにしてもずいぶん細かい内容まで知ってるね、夏輝ちゃん」
「洗いざらい白状させられたんす……」修平はうなだれた。
「もともとエロいやつだとは思ってたんですけど、ここまでとは……あー情けない……」夏輝ははあっと大きくため息をついた。
 修平は囁くような弱々しい声で言った。「そ、そんなもんなんだよ、オトコってのは」
 夏輝が大声をあげた。「なに開き直ってんのよっ! 相手を考えなよ、真雪は人妻だよ? しかも大切な友だちの」

 神父尊は苦笑しながら一度ソファから立ち上がり、自分の仕事用の机まで歩くと、引き出しから一枚の紙を取り出し、ソファに戻って夏輝と修平に向かい合った。
「実は『Chocolate Time』シリーズが全部完結した後、読者の皆さんからメールをいくつかいただいてね」
 夏輝はコーヒーを片手に訊き返した。「メールですか?」
「そう」
「どんな内容なんすか?」修平もカップから口を離した。
「このメールが丁度そんな感じのリクエストなんだよ」
「リクエスト?」
「うん」神父尊は手に持っていた一枚の紙をテーブルに置いた。「これ、その内容をプリントアウトしたものなんだけど、読んでもらえる?」

 夏輝がその紙を取り上げた。
「何て書いてあるんだ? 夏輝」修平もその文面を覗き込んだ。
 夏輝は顔を上げた。「ほんとだ……」
「どれどれ?」修平がその紙を夏輝の手から受け取った。

「もうこの段階まで来ると、原作者の勝手にはできなくてね。君たちに相談してから執筆しようかと思ったんだよ」神父尊はテーブルのコーヒーカップを持ち上げた。

 修平が紙から目を放して、赤い顔をして言った。「こ、こういうことを読者は期待してるんすか?」
「そうらしいね」神父尊はコーヒーをすすった。
「で、でも、これって、龍と真雪にも聞いてみないと、俺たちだけでどうぞ、っていうわけには……」
「うん。でも、とりあえず時間もないし、書いた後で彼らには承諾を得ようかと思ってるんだ」
「何ていうかな、あの二人……」修平が不安げに夏輝の顔を見て言った。
「話としては……ちょっと萌えるけど……」夏輝は少し困惑したように、しかし頬を赤くしながら言葉を濁した。
「そ、そうだな……でも、真雪は龍にでれでれだし、龍も真雪一筋だろ? お、俺たちが、こ、こんなこと……」修平は神父尊に顔を向けた。
「大丈夫だって。ある程度ルールさえ決めていれば」
「ルール?」
「うん」神父尊が言った。「それはきちんとしたいと思ってる。欲望の赴くままっていうスタンスは、僕は好きじゃないからね」
「そ、そうですか?」修平がますます赤い顔をして言った。「でも、俺、何だか興奮してきちまいました」
「夏輝ちゃんは?」
 夏輝は小さな声で言った。「真雪たちがいいって言うんなら……」

「期待してていいよ。夏輝ちゃん、修平君。シリーズ新企画、主要キャラクターによる『劇場版 Chocolate Time』」


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