投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

愛しているから
【青春 恋愛小説】

愛しているからの最初へ 愛しているから 66 愛しているから 68 愛しているからの最後へ

ヘタレですけど-5

「……へえ、土橋くんはよくわかってんじゃん」


沈黙を破ったのは、州作さんだ。


「二人は別れたんだから、オレが沙織ちゃんにどんなにアタックしても、大山くんには関係ないもんな」


そう言って、奴は沙織の手首を掴んで自分の方へ引き寄せ、俺達に、いや、俺に不敵な笑みを見せる。


「きゃ……」


「大山くん? オレ、遠慮しねえから」


そして、州作さんは沙織を連れて、表に出てしまったのだ。




   ◇   ◇   ◇



「ホラ大山、ジャンジャン食えよ」


歩仁内の声に我に返った俺は、反射的に奴の持っていた紙皿を受け取っていた。


山盛りになった野菜と肉。腹は減っているはずなのに食指が動こうとしない。


「……サンキュ」


それでも、俺が何かしら口に入れるまで、歩仁内に見張られていたので、仕方なしに肉を一切れ口に放り込んだ。


一から自分達で準備をした食事は、不味いわけなんてないのに、今の俺には味気ない。


所々が黒く焦げているカボチャやタマネギ、それに俺の好物であるトウモロコシですらも、砂を噛むような味気ないものだった。


すると、


「ホラ、こっちも焼けたよ」


よく通る、男にしてはやや高めの声がバーベキューコンロの方から聞こえて、ピクッと身体が強張る。


こっそり見れば、バーベキューコンロの前で、次々とみんなに焼けた肉や野菜を配る州作さんの姿が目に入った。


「ありがとうございまーす」


「わあ、おいしそう」


石澤さんや本間さんがキャピキャピはしゃぎながら、紙皿を受け取るのを見る分には心はいささかも動じないのだけど……。


「はい、沙織ちゃん」


「あ、ありがとうございます……」


州作さんが沙織の名前を呼ぶだけで、心の中はザワザワ落ち着かなかった。



愛しているからの最初へ 愛しているから 66 愛しているから 68 愛しているからの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前