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クリスマスの夜に〜公園で濡らされて〜
【幼馴染 官能小説】

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クリスマスの夜に-5

 ひとしきり笑った後、達也は真っ直ぐにマリを見つめた。
 その視線は肌に痛みを感じるほど鋭くて、まともに目を合わせることができない。
「ねえ、一度きちんと言おうと思ってたんだけど」
「いい、やめて。聞きたくない」
「僕ね、ずっとマリちゃんのこと好きだったんだよ? あの男のことがなくても、ずっとずっと前から」
「ほら、そうやって嘘つくじゃない。そんなはずないのに」
「何が嘘? ほら、こっち向いて」
 腕を引っ張られても、マリは顔をそむけたままギュッと目を閉じていた。
 違う、違う。
 達也は、わたしに気を遣っているだけ。
 わたしのこと、好きなんかじゃない。
 心を許しそうになる自分に、何度も必死で言い聞かせる。
 耳元で、呆れたようなため息が聞こえた。

「じゃあさ、なんでいま僕はマリちゃんと一緒にいるわけ? こんな寒いクリスマスイブの夜にさあ」
「それは……達也が、いい子だから。優しいから」
「優しいだけで、毎日電話したり、夜遅くに会いに行ったりするって本気で思ってんの? 僕、そんなに暇じゃないよ」
 声のトーンが低くなり、ふざけた調子が消える。
 胸の奥が締めつけられる。
 嫌だ。
 こんなのは嫌だ。
 相手は達也なのに。
 達也のくせに。
 
「もうやめて! とにかく、だめなの。達也は、わたしなんかのこと、好きになっちゃいけないの!」
「ちゃんとこっち向いてよ。ねえ、なんでダメなの?」
 ギュッと右の手首をつかまれた。
 買ってもらったばかりの缶が、手から離れて地面に転がり落ちる。
 それでも、顔を上げられない。

「だって、達也はいい子だから。そのまま、いい子でいて欲しいから」
「なんだよ、それ」
「わたし、魅力ないんだもん。だから、あの人にだって本気になってもらえなかった。達也だって、きっとすぐに」
 そうだ。
 それが、ずっと怖かった。
 達也に甘えて、恋人同士になるのは簡単だ。
 でも、それが壊れてしまったら?
 今度は、こうしてそばで支えてくれる人さえ失ってしまう。
 そんなのは、もう耐えられそうにない。

「あの男のことは、マリちゃんの魅力がどうとか、そんなのとは関係ないじゃないか。あれは、あいつがクソだったってだけで」
「て、達也だって、わたしに魅力なんて感じてないくせに。これだけ何年もずっと一緒にいるのに、一度も何もしないじゃない!」
「え? それは」
「二人きりでいたって、何もしたいと思わないでしょう? わたしのこと、女だと思ってないから」
「思ってたよ? それはもう、ずっと」
 
 手首をつかんだままの手に、ぐっと力が込められる。
 ふと目を開けると、達也の真剣なまなざしが間近にあった。
 子供の頃には真ん丸で黒目がちだった瞳が、いつの間にか大人の雰囲気を漂わせた目になっていることに気付かされる。
 
「あの男のこと忘れられるまで待とうと思ってただけなんだけど、そんなに変かな?」
「変、じゃないけど」
「本当のこと言っちゃえば、いつも思ってたよ。マリちゃんのこと、抱きたいって」
「い、痛いよ、離して」
「どうしたらわかってくれる? 僕が本気で好きだって思ってること」
「わ、わからなくていい、わかりたくない!」
「それじゃ困るよ。もうそろそろ、僕の我慢も限界みたいだから」

 握っていた手が離され、肩を抱き寄せられた。
 いつものじゃれつくような感じではなく、息が止まりそうな強さで。
 耳に唇がつけられ、小さく囁かれた。
 優しい感触。
 熱い吐息が耳朶にかかる。
 心臓が跳ね上がり、緊張で体がこわばる。
「ねえ、キスしてもいい?」
「い、いいわけないでしょう? 何考えてるのよ」
「さっきから言ってることバラバラだよ。僕に何かして欲しかったんじゃないの?」
「あれは、そういう意味じゃなくて」

 ずっと、不公平だと思っていた。
 マリは理不尽なワガママを達也にぶつけ続けているのに、達也はマリに何ひとつ求めようとしない。
 ひどく不自然で、バランスが悪い関係。
 そんなもの、長く続くはずがない。
 
 マリの言い訳のような呟きに、また達也は笑った。
「不公平だなんて、思ったことないよ。そばにいられるだけで嬉しかったし、楽しかった。誰かを好きになるって、そういうことじゃないの?」
「し、知らない。わかんない、そういうの」
 見返りを求められない恋愛など、まだマリには経験がない。
 少なくとも、あの男はそうじゃなかった。
 わからない、わからない。
 どうして達也は、まだわたしを抱きしめたままでいるのだろう。
 吹き抜ける北風は身を切るほど冷たいのに、こんなに体が熱いのはなぜだろう。
 赤く火照った耳元に、口づけが二度三度と繰り返される。
 
「あとね、誤解しているみたいだけど」
「な、なに、ちょっと、近い、離れて」
「離れないよ? あのね、僕はマリちゃんが思ってるほど、いい子なんかじゃないから」


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