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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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彼の居ない世界-6

「あら、貴方…。」
「お…。」

帰宅すると、居間で缶ビールを寂しく口にする夫が居た。

「さっき、アイツの家に行って来た。」
「……。」

やっぱりね。

「八つ当たりしちゃったよ、頭に血が昇って…、バカだよ俺。」
「ホント、自分の事しか考えないで、長谷川さん達が可哀想。」
「……。」

何時になく夫に厳しい言い方をする私、これでも愛情の裏返しで。

「こんな事態だけど諦めない、長谷川サンの奥さんも娘の復帰を心から願ってた、だから必ず俺達の手で杏に幸せになってもらおう。」
「貴方…。」

そう言って、今日はもう疲れたカラと寝室へ向かい。

ありがとう紘(ひろし、夫の名前)頼りになるわ。

私は取り合えず冷蔵庫にスーパーで買ったものを収める。

辛そうな娘を見てつい長谷川サンに当たる夫、それでも娘の事を心配してくれる長谷川サン…、学校で見るに堪えない思いをしてきた菫ちゃん。それぞれやり方は異なるとはいえ
想いは皆一緒。

「……。」

冷蔵庫のドアを閉め、感情が一気に高ぶり憎たらしい娘がうじうじと引き籠ってる二階へ向かう。

「杏っ!」
「……。」

相変わらず返事がない、寝てるのか?いやさっきみたいにシカトしてんだ、うっとおしいとか思って、強気にその扉に罵声を浴びせるも無反応…、ますます頭に来る。

「苦しいのは解るよ、私だってお父さんが事故に遭い助かるって言われたのに急に死にましたって告げられたらそりゃー悲しいよ、一気にどん底へ突き落されたように…、そうやって引き籠りたくもなるし、何もかもが嫌になる!」
「……。」
「だけどねっ!それで何時までも落ち込む何て間違ってる!…少しずつでいい、無理に学校に行かなくてもいい!だから…お願い!くじけないでっ!……。そして再び私たちにあの明るい笑顔を見せてっ!」

言いたい事は全て言った…、これで少しは私たちの想いが届いただろうか…。

それでも扉の向こうから一向に声は聞こえない…、ホント物音くらい聞こえて良い筈だが

…扉に耳を近づけすませる…、静かだ、静か過ぎる…息をする音一つない。

不審を抱き、ドアノフに手を掛ける、すると…鍵を閉め開かなかった筈の扉が開き…。

もしかして、解ってくれた?そんな淡い期待を寄せ、中に入るが。そこに娘の姿は無く、
唖然としていると、突然…。

「うわぁぁぁぁぁぁっ!杏っ!杏!。」
「!!」

下から聞こえる夫の悲鳴。何事かと無我夢中で階段を降りる。


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