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痴漢専用車両へようこそ
【痴漢/痴女 官能小説】

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落ち込む優子、痴漢と遭遇する-2

電車の中で落ち込んでいた優子は、ふと尻に違和感を覚えた。しかし、それは一瞬の事だったので気のせいかと思った。

(神経が昂ってるのかしら…)

そう思った矢先、今度はしっかりとそれを女体は感じ取った。

(やっぱり触られてる…)

優子がビクリと身を震わせた途端、大胆にも尻を触る手がスカートの中に入ってきた。その手が優子の下着の湿った部分に触れるとピクリと反応した。優子が興奮していると思ったのか、指は性急に下着の上から優子の股間の敏感な部分を弄りだした。痴漢は知らなかった。優子は電車に乗ると条件反射で濡れてくる事を。

「はふん…」

優子の口から甘いため息が漏れた。

昔の優子だったら怖くて、身動きもしないまま、早く駅に着く事を願い、電車が止まると自分の降りる駅で無くても、逃げるように車両から降りていた事だろう。

陽子に『痴女に成るな』と釘を刺される前だったら、痴漢に身を任せて快感を堪能していた事だろう。

そして、痴漢専用車両の真実を知った最近の優子なら、騒ぎに成らないようにやんわりと拒否する態度を取り、それでも止めないようなら、狭い車内を無理矢理移動して痴漢の手から逃れた事だろう。

痴漢にとって、優子がこの3パターンに当て嵌っていたら何も問題は無かった。今後も味をしめて痴漢を続けていただろう。しかし、問題だったのは今日の優子は虫の居所がよろしく無かった事だ。

優子は自分の尻を触る男の腕を掴むと、そのまま捩じり上げた。拉致騒ぎの後、手島から教えて貰った古武術の護身術がさっそく役にたった。

「イテテテ…」

30代半ばのサラリーマン風の男が、情けない声を上げた。

優子はもう一方の手で、その男の髪の毛を鷲掴みにすると耳元で怒鳴り上げた。

「てめえ!こんな所で人の尻を触るんなら、それだけの覚悟はできてんだろうな!」

「痛い、な、何を言ってるんですか。ボクは何もしてませんよ、離して下さい」

「しらばっくれるな!」

「証拠は有るんですか?名誉棄損で訴えますよ」

男は甲高い声で反論した。

「何言ってんだよ。証拠はてめえの汗ばんだこの手だよ」

「ボクの手が証拠?変な言いがかりはやめて下さい」

優子はそれを聞いて、更に男の手を捻り上げた。

「イタタタタ、だ、誰かこの女を止めて下さい」

「バカ野郎!てめえの気持ち悪い手汗が、あたしのスカートとパンツにベットリと付いてるんだよ。DNA鑑定したら一発アウトだよ。それでもやって無いと抜かすのかよ」

DNA鑑定と言われた男は、それでようやく観念した。強い口調から一転、急に態度を変えて弱々しく謝りだした。

「ごめんなさい、ごめんなさい。出来心だったんです。許して下さい、お願いします」

「バカか!そんな簡単に許せるはずないだろ。てめえみたいなヤツが居るから、嫌な思いをする女や、冤罪で苦しむ男が後を絶たないんだろうが。『許してくれ』だあ?そんな柔な気持ちで触るんなら合意の相手とやれよ。それができないんなら、『許してくれ』と言わずに、人生を掛ける覚悟を持って触りやがれ」

優子の小気味よい啖呵を聞いた乗客達は、一斉に拍手を始めた。

その拍手にハッとした優子は、初めて周囲を見回した。すると車両の中の乗客の殆どが、自分を注目している事に気付いた。

(やってしまった…)

優子は自分を見つめるその視線を受けて、一気に血の気が引いてしまった。

拉致騒ぎの時に、感情のまま泣き叫び、ヤクザ相手に啖呵を切ったことで、少し優子の中の『常識』の箍が緩んでしまったようだ。『感情の昂り=怒鳴る』この式が優子の中で確立されてしまい、昨晩、パソコンの前で怒鳴った事からもそれが証明された。


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