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真夜中のファミレスにて
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真夜中のファミレスにて-3

『…戻れないよ』


長い沈黙だった。
それを破ったのはあたし。
今まで出来なかった事。


『戻れないよ。あたし…』


短くなったタバコを押し付け、空になったビールのジョッキに付く水滴を指でなぞった。


『そうだよな、ごめん』


彼は笑ってあたしの頭を軽く叩く。



『幸せになれよ』


駄目だった。


『戻れなくても…!…あたしまだ好きだから…』


自分で自分の気持ちが分からない。煙をたくさん吸いすぎたか。もぅ酔いが回り始めているのか。



彼は笑っていた。


『俺も好きだよ。でも、戻れない』

『…本当に…?』



立場が逆だ。
何故あたしは必死に彼を引き留めようとしていて何故彼は笑っているのか。

ここで負けたら、何にも変わらない。


『俺じゃ、お前の事幸せにしてやれねぇもんな』

彼の顔を見た。
今度は煙なんかない。
本当の彼を見たかった。
意外にも答えはすんなり出た。





『そぅだね。あたし達一緒にいたらダメなんだよね』

『うん』


良かった。笑えた。





恋とは駆け引き。でも、自分に気持ちがある上での戦い。あたしはもぅ煙で誤魔化すのは辞めた。自分の気持ちも相手の気持ちもちゃんと見たい。

本物なのかどうかを…


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