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田園シンデレラ
【女性向け 官能小説】

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急に立ったからか、それとも熱中症になったのか
軽くフラリとした身体を
片桐さんががっちりと支えてくれた。

「大丈夫か?」

真っ黒に日焼けしたその腕の中で
真っ白な私は何も出来ない人間に思える。

「はい」
「今日来るとは思わなかったんだ。駅まで迎えに行ってやればよかったな」
「あ・・・いえ」

「とにかく入って、少し休め」
「はい」

片桐さんは家に入るとソファーに私を座らせて
冷たい麦茶を持ってきてくれた。
家の中は見かけ以上に素敵な内装だった。

「ありがとうございます」
「で?大体は石島から聞いたけど。お断りしたはずだが?」
「え・・・」

「聞いてないのか?」
「はい」
「悪いが、完全無農薬で野菜を栽培している。
無農薬がどんなに大変か、分かってくれるレストランにだけ提供している」
「・・・」
「大きな会社の組織の1つであるレストランに、俺の野菜は卸せない」
「あのレストランは!」

チェーン店のファミリーレストランと同じように扱われた事に
ちょっとムッとした。

「あのレストランは!私がオープンから立ち上げたモノです!
吟味された市内の3つの場所にのみ展開していて
今後店舗を増やす予定はありません」
「・・・・」

「客層も、無農薬野菜を分かってくれる人たちだと自負しています。
お願いします。どうしても、無農薬を栽培している1つの農家と
完全契約したいんです」




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