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ある官能漫画家の若き肖像
【ラブコメ 官能小説】

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教えてもらいました-1

桂太がフォーチュンクローバーの仕事場にアシスタントとしてきて、そこで織田真理と明智まりあに教えられたことがある。
織田真理はメカニックデザインを可動部やモーターや排気を考えて描くことを桂太に教えた。
「本当に誰も見たことのない機械は描いても何かわからないからね、バイク、車、飛行機、甲冑とかその可動部や外観の特徴をわざとヒントを残す。車とかバイクとかはディフォルメしすぎたらダメ、それが人物との違い。でも、服とかでファスナーとかボタンとか細かい特徴をわざと残すのもいい」
明智まりあは桂太に現実にはいないものを見たように描くことや、風景にはパターンがあることを教えた。
「私は動きそうに見えるように見える瞬間を意識して絵を選んでいるの。動きがビシッと止まる瞬間じゃなくてその直前って感じ。あとは影と光のちくはぐな絵は気持ち悪い。じゃあ、気持ち悪いものを描くときはそれを利用すればいいってこと」
「下手な絵で迫力ある場合ってありますよね」
「そうそう。山崎くんは絵が上手すぎだもんね」
織田真理はデッサン力や直線や遠近法のパースの大切さなど基礎的なものの描きかたを教えた。
明智まりあはそれをどうやって崩してイラストの印象
を作るかを教えた。
「エロシーンって多少は崩したほうがいいの。本当は精液とか、あんなにどばーって出ないでしょ」
膣内で擦れる感じとか絵にするのは難しいけど、文章みたいに省略できないだけ、表情とかセリフの変化で演出したりしなきゃいけない。
「あと映画のカメラワークとかも参考になるから」
明智まりあは桂太にアダルトアニメと実写のAVを見比べさせた。
「成人向けのマンガとそうでないマンガは、こんなにはっきりカメラワークのちがいがないのが、残念な技術的な壁ね」
コマ割りの基礎を作った手塚治虫と、パースを画面の外に想定して背景を描いた大友克彦の話を明智まりあは桂太に聞かせた。
マンガ批評が書けるほど、明智まりあは理論的にマンガを考えて描いていた。
だから、今は作画担当に徹している。フォーチュンクローバーの演出家と呼ばれる明智まりあは漫画より映画好きで、アニメ好きである。
「アニメとか同人マンガに多いけど挿入された膣内に男性の性器が解剖図みたいな膣内に精液が出される絵とか、あんまり好きじゃないなぁ。でもこれも表現の工夫なんだろうけど」
たしかに、膣内に性器が挿入されていて膣奥に押しつけられているボルチオ性感をどうやって読者に伝えるかは文章がわかりやすく、パターン化してしまいがちだが漫画にも表現はある。AVでは女優のセリフや男優がペニスを根元まで深く押し込んでいる映像なとで間接的表現となる。
「ボルチオ性感?」
「あー、そういうのは梨香姉に説明してもらったほうがいいかも。あのね……わかった?」
明智まりあは桂太に小声で「奥に激しく突かれると私はなんか痛くなっちゃって嫌なの。私、たぶん体が全体的に小さめだからだと思うけど」と囁いたのだ。
「今日の講義はここまで。エクレアよろしくね」
まりあは桂太が部屋から出ていくと、ドアの鍵を閉めて椅子の背もたれによりかかった。
「山崎くん、んっ、はぁ、はぁ、んっ!」
スカートをめくり、下着を脱いでまりあはオナニーを始めた。
いつも、まりあがオナニーするときに想像するのは、蠢く触手で浅く指先を入れてくちゅくちゅとかき混ぜるように弄る。
しかし、さっきまで桂太がそばにいて息がかかるほど近くにいたので、桂太に弄られている自分を想像しなからオナニーをしてしまった。
(なんかえらそうにマンガの話をしちゃったから。こんなのしたのばれたら、幻滅するだろうな)
まりあはオナニーでいったばかりで乱れた息を吐きながら、愛液がついた指先を見つめて思った。
そして、桂太と織田真理が歓迎会の夜に二人で部屋でセックスしてたのだと思い込んでいるので、昨夜は真理と桂太がしている様子を想像してしまい、またどきどきしてしまっていた。
真理が桂太をおぶって部屋に持ち帰るのを、寝たふりをしていたまりあは気づいていたのだ。
「はぁ、お仕事しようっと……」
織田真理はというと、昨夜、桂太に生挿入で外出しでやらせてあげればよかったと思っていた。
酔っていた勢いで桂太を部屋に連れ込んだが、しらふで「コンドーム、買って来て」と頼むのは恥ずかしいのだった。
桂太が積極的にキスしてくれたり、クリトリスを舐めまわしてくれたのを思い出すだけで真理は濡れてしまいそうになる。
「こういうときは仕事でまぎらわそう。集中!」
桂太は二人が漫画についてあれこれ教えてくれたのを素直によろこんでいた。
「なんかいいことありました?」
静香が掃除機かけしていた桂太に声をかけた。
二人が漫画について教えてくれたことを話すと、静香は「あとは空いた時間にマンガを描いてみたらいいと思います。ラフな下書きみたいな感じで」と笑顔でアドバイスした。
「マンガでもいろんなジャンルがありますから、いろいろ描いてみるといいですよ」
静香は桂太が本気で描けば、プロ並で原稿を上げることができるスピードがあると見抜いていた。
(描き始めたばっかりの頃って楽しいのよね)
自分にもそんな時期があったと静香はまぶしいものを見るように目を細めて笑顔で桂太を見つめた。
掃除が終わったあと、桂太は梨香に部屋に呼ばれた。
「朗読してもらった部分をマンガのシナリオに書き直したのがこれ。比べてどういうふうに書き直されているか確認してみて下さい」
桂太はプロットの書きかたを梨香から習った。
「どうかしら?」
桂太はまりあから映画の話をしてもらったことを梨香に話した。
「シナリオの基本は映画もゲームシナリオも漫画も同じ。ただ媒体がちがうから、演出が変わりますけど」
梨香は本棚から、ヒッチコックとトリュフォー共著 『映画術 定本改訂版』(山田宏一、蓮實重彦訳 晶文社)を取り出して「読んでみて」と手渡した。


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