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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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再会-4

諦めて帰っただろうか…。

彼女が病院に来た事を知り、小一時間庭の草や木に身を潜めた、時より通りすがる子供たちの視線がチクチクする。

病室に足を忍ばせ、恐る恐る覗く。するとそこには誰も居ない。

良かった。僕は彼女がまいたと思い、ホッと胸を撫で下し、ベットに近寄り。

「ふぅ……。」

ベットに腰を下ろし、横になり、不意に溜息が漏れる。

毛布の下に妙な違和感が、気のせいか。

どうして裏切ったんだ、東堂サン達に対して憎しみが募る。そりゃー相手からしたら無理なお願いなのかもしれないが、それでも、僕には。

毛布の下の、得体のしれない物体が近づく。

心にクイは残るものの、一眠りする事に。

「へぇー、病室のベットってホント清潔感溢れるね。」
「まぁね、でも慣れたらどうとも思わないよ……っ!!?」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ(乙女級な叫び)」

病院中に響き渡る悲鳴、幸い大事にはならなかった。

「あああああ杏ぁっ!!?どうしてっ、帰ったんじゃ…。」
「ベットで身を潜めて頂きました、絆の匂いがしたわ♪。って!やっぱり避けてたんじゃないっ!全くもぉー、酷いじゃないっ!」
「酷いのはどっちだ、こんな所まで遥々来て、こっちの想いも知らないでっ!」
「解ってるよ!私に気を使って自分は死んだ事にして、関係をすっぱり切ろうとしたんでしょ?自分が死ぬところを、私に絶対見せない為にっ!」
「どうしてそれを…、やっぱり喋ったんだね、いずみの奴。」
「実の妹に、そんな事を頼んじゃ、ダメよーダメダメ。あの子だけじゃなく、菫に東堂クン、加藤クンと、皆から聞いた。」
「っ!やっぱり、裏切って!」
「それは違うよっ!」
「!!」
「皆はアンタの為を思って、あえて約束を破ったんだよっ?」
「何が、僕は死ぬんだよ?変に期待して死期が訪れるまで共に居て、そこで死別したら君は耐えられないだろうっ!…だったら余計な事はしないで、静かに忘れて。」
「……確かに私も、この病院に来るまでは、いや今でも心の隅で思ってる、絆に逢うべきではない、アンタの言う事も一理あって、あのデートを最期に、すっぱりアンタの事を忘れ、後は自分の都合の良いように勝手に解釈する、その方が断然楽何じゃないかって。」
「そうだよ、だから今からでも遅くない。」
「でも、そんなのやっぱり嫌だよ。」
「こんな事、言いずらいけど、君はバカなの?」
「私がバカなら、アンタは臆病者よっ!」
「っ…。」
「死ぬだの最期のデートだの、まだ確実に死ぬと決まった訳ではないでしょう!」
「ドナー登録の事も知ったんだね、確かに、でも確率は極めて低い。」
「低くたって信じて頑張れって!そういうモンでしょ!?」
「簡単に言わないでくれっ!」
「絆は信じてないんだ、立ち向かおうとしてないんだ。」
「それは…。」

重たい空気が漂う、何か、勘弁して欲しい。

中々説得に応じない彼女、しかし痛い所を突かれ、動揺し。ダガ、僕も確信づく事を口にする。

「じゃー、僕が死ぬ所を見ても、君は耐えられるって訳かい?」
「だから、死ぬと決まった訳じゃ!」
「例えの話だよ、その可能性だってある、もしそうなっても君は元気で居られるの?この先ずっと、笑顔で生きて居られる?」
「!!…………。」

目をパッと見開き、視線を反らす杏、やっぱり…。

しかし少しの間が空き、急にパァと笑顔になりこう言う。

「もっちろんよっ!確かに悲しいけど、それで何時までもクヨクヨしてたって仕方がないじゃない?」
「杏…。」
「この私を誰だと思って?元気だけが取り柄の女の子だよー、どんなに悲しい事があったって笑って吹き飛ばしてきたじゃない?だから大丈夫だよっ!」
「……。」

胸が熱くなり、不意に涙が目に溢れる。

嘘偽りの無い、太陽のような明るい笑顔を僕に見せる。

杏、君は、僕にとって。

「!!……。」

くびれた彼女の胴の辺りを横から抱くように引き寄せる。

「来てくれてありがとうっ!やっぱり僕は、君の事が、大好きだっ!」
「……私も、私も、逢いたかったよ、絆っ!大好きな絆っ!」

やっぱり自分の気持ちに嘘はつけない。

全てがバレ、正直今でも困ってる、でも、今は。

愛おしい彼女を、ただ全身で包み込む事にした。

次回、22話に続く。


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