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爛れる月面
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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3.広がる沙漠-22

「触るだけでいいの?」
 紅美子は足を伸ばして開いている徹の股間に手を差し伸べると、爪の先で陰嚢の下端を微かな感触で触れ、男茎の裏側へ一度だけなぞりあげた。それだけで徹の先端からまた先走りが飛び散って腹上を濡らす。「言って。して欲しいんでしょ? 私に」
 握り締めるともういつ爆発してもおかしくないほどに張りつめていた。外見は線が細い印象がある徹の男茎が、初体験を分かち合ってから見たこと無いほどに漲っている。
「おっ……、うふっ……」
 紅美子が優しく揉みほぐすと、徹はビクビクと体を震わせる。「で、出ちゃうよぉ、クミちゃんっ……」
「だめ勝手に出したら」舌足らずになって切ない声を上げる徹の噴射口を親指の腹で塞いだ。「……なんか徹、子供になったみたい」
「だ、だってぇ……」
「……徹がね、前に栃木で見せてくれたの、忘れられない」
「……?」
「自分でしてるとこ」
 そう言うと、徹は身を左右に小さく捩らせて顔を真っ赤にした。
「徹が一人でそんなことしてるとこなんて、あまり想像できなかったから」
「……き、気持ち悪かった?」
「何の心配?」
 紅美子は徹の瞳を見つめて、「すごく嬉しかった」
「嬉しかったの?」
「うん。……あ、でも、結婚してから一緒にいるのに勝手に自分でしてたら超怒る」
「し、しないよ」
「するなら私が見てるとこでして」
「クミちゃんが目の前にいるのにしないよぉ……」
 握ったまま静止していても、手のひらの中で熱く脈動を続けている。これは自分だけのものだ。
「……いっぱいしてくれた? 私が帰っちゃったあと」
「う、うん」
「徹、いつからそんなに絶倫になっちゃったの?」
 紅美子は笑ってから、一度深呼吸をして、「徹、あのね」
「ん……?」
「……私も、したよ」
「え……」
「だから、私も自分でした」紅美子は徹を睨んで笑いながら、「二回も言わせないで。はずかしいんだから」
「う、うん。ごめん」
「……引いた?」
「そんなことない……、そんなわけない」
 仰向けに寝そべる徹のすぐ隣で横座りになっていた紅美子は、男茎から手を離し、徹の肩に掴まるように抱きついた。
「徹……、あそこ」
 すぐ近くまで顔を寄せてベッドの傍らへ目線を導いた。大型の液晶テレビやコーヒーセットの置かれた棚の下には冷蔵庫。「……エッチなやつ、売ってる」
 そして冷蔵庫の隣には、透明窓のついた小部屋で仕切られた販売機が並んでいた。紙幣を投入すれば、押した窓が開き、中の物が取り出せる。小部屋の中はす全て性玩具だった。
「買いたい」
「えっ……!?」
「そんなにビックリしないで。嫌われるかと思って不安になる」
「ううん……。……で、でもクミちゃんが使うの?」
「他に誰使うの?」
 紅美子は決心したようにパッと起き上がってベッドから降りた。販売機の方へ行って、その前にしゃがむ。中には様々な玩具が並んでいた。
「ねー、いっぱいある。徹も見ないの?」
 しゃがんだまま振り返ると、徹はまだベッドの上で両手を上げていた。目を閉じて待っている。
「ねー、結構高いよ」
「……」
 もう一度呼びかけたが、黙ったままだった。紅美子は販売機のほうへ顔を戻して、背中に向かって言った。
「私だって、すごくしたくなるときある。……軽蔑しないで」
「……し、してない」
 呟きのような声が聞こえる。
「……じゃ、徹に黙って、ネットとかで買えばよかった? 徹に内緒でいっぱい買ってた方がよかったの?」
 紅美子は紙幣を投入して、小窓を開けて中のモノを取り出した。立ち上がり、手に持ってぶら下げたコードの先で玩具と電源部をカタカタと鳴らしてベッドに戻ってくる。
「徹」
 再び徹を見下ろす。徹はおずおずと薄く眼を開いて紅美子を見上げた。「引いてない、なんてウソだったんだ? ドン引きしてるんでしょ?」
「……そんなことないよ。そんなことない」


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