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爛れる月面
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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2.湿りの海-10

 命令が聞こえてきた。紅美子は布地の向こうの硬い肉茎の感触に慄き、
「そんなっ……、言ったのに……」
 と漏らしたが、
「握れ。君の手で取り出すんだ」
 もう一度冷ややかな井上の声が鼓膜を震わせた。その間も紅美子の決心を督促するように指が秘所をイジくってきていた。んっ、と呻いて、紅美子はブリーフの前窓に指を入れると、中の熱い塊を外へ引き出す。ブリーフに引っかかりながら、弾かれるように外に取り出された男茎は、硬く力強かった。その猛々しい亀頭の首をおずおずと握り込んでいく。
「そうだ……」
 また髪を梳かれて撫でられる。下腹部に淫猥な疼き、頭からは安らぐような心地よさを送り込まれ、紅美子は思わず強く井上の幹を握ってしまう。
「君のせいで、こんなになってる。わかるか?」
「……私、のせい……?」
「そう。何回言わせるんだ。……君が最高だからだ」
「こんなっ……、ひどいことしといて……」
 紅美子に握らせたまま井上が囁き、腰を前後に動かしてくる。傘の縁が手のひらの中を擦ってくる。
「仕方ない。欲しくて堪らないんだからな」
 抱き寄せられまたキスをされる。井上の舌が誘ってくるままに、紅美子は唾液を口端からこぼして舌を差し出して絡めていっていた。ニッチュッ、と指先の角度が変えられて一度大きな音を立てられて、紅美子がまた身を捩ってしまうのを合図に長いキスが中断される。
「君がイッたらすぐに犯したい」
「……」
「コレが欲しいだろ? 君も」
 腰の角度を変えて、亀頭の先が紅美子の手のひらに押し当ててきた。手に感じるこの熱い茎で体の内部を擦られる。しかも絶頂直後。あの恍惚と溶けてしまうような余韻の中、体を押し広げてくる……。
 想像が止まない。
 紅美子は胸が喘いで震える声で、
「す、好きにしたら……?」
 誘惑に抗えなかった。井上の指の速度がまた徐々に速まっていく。何度も高い喘ぎを漏らす耳元で、
「挿れて欲しいんだろ?」
 曖昧な言葉では許してくれない井上が、絶頂への階段を後押ししながら問いかけてくる。
「い、挿れたらいいでしょ……」
 顔を羞恥にしかめて、頬に火が出るほどの熱を帯び、紅美子は夢現にたゆとう表情で即座に訴えていた。
「……もちろん、君が持ってきてくれたプレゼントは使わない。……いいね?」
「そんな……、だめっ……」
「ナマのほうが気持ちいい。君も……。そうだろ?」
「ううっ」
 井上の低い声が脳髄に直接流れこんでくるように響く。抗いがたい声に、紅美子は最後の気力を振り絞ってかぶりを振った。そこへ中指が入口付近まで引かれると、再び押し込まれてくる。圧迫感が倍増して紅美子は叫びを上げた。添えられた薬指も一緒に入り、中で指又を開かれて、それぞれが襞を擦ってくる。
「つ、つよいっ……、だめっ」
「ナマでしよう。いいね?」
「あっ……、あ……」紅美子は圧迫感に息が苦しくなって口を大きく開けて息を何とか吸い込むと、「ナ、ナマ……、で……」
「ん?」
 中を掻き込むように高速で指が屈伸され、内壁を激しく擦られると、
「ナマでして、……いい……っ!!」
 と叫び、絶叫を伴って紅美子は井上にしがみつき身を硬くしていた。さっき以上の絶頂は無いと思っていたのに、執拗に焦らされた末での絶頂は軽く上回ってきた。井上が指を引き抜いても腰を細かく痙攣して、時折ビクンッと大胆に跳ねてしまう。まだ身体をヒクつかせている紅美子の両脚をM字に大きく開かせ、その間に膝をついた井上が亀頭の先を入口に押し当ててくる。イッたばかりで敏感な秘門を容赦なく擦られて、
「ふああっ」
 と悦楽とも苦悶ともつかない無様な喘ぎを上げてしまった。井上がゆっくりと腰を進め、亀頭が紅美子の体を広げていくと、同じ喘ぎが何度も漏れる。
「スゴいな。ドロドロで熱い」
 亀頭だけを埋めた井上がM字の両膝に腕をかけて紅美子の脇に腕を付くと前屈みに身を覆わせてくる。カエルが裏返ったような姿で、お尻がシーツから浮いて苦しいくらいに屈曲した体位にされた。
「んっくっ……」
「ほら、見ろ。自分が犯されてるところ」
 頭上からまた脳に直接流れこむような低音が聞こえてくる。催眠に導かれるままに薄目を開くと、避妊をしていない黒みがかった男茎の先が花園に首まで埋められているのが見えた。
「やっ……」
 目を背けようとすると間髪いれず、
「ちゃんと見ろ」


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