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愛しているから
【青春 恋愛小説】

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すれ違ってばかりの俺達-5





   ◇   ◇   ◇




「……お腹の調子はもうよくなったの?」


そう訊ねる沙織は、いつもより少しだけ離れた距離からそう言った。


謝るきっかけを探しながら、海の家に向かう俺と沙織。


沙織を誘うため、とって付けたように“昼飯買いに行こう”なんて、言ったものの、まだまだいつものようにスムーズな会話は運べなかった。


「う、うん。……ごめんな、一緒に遊ぼうって約束してたのに」


チラリと横を見れば、うつむき加減の沙織の浮かない顔。


やっぱり寂しい想いをさせていたんだと思うと、胸がズキンと痛んだ。


石澤さんも、本間さんも、それぞれ彼氏と仲良く遊んでいるのを目の当たりにしてるんだもんな。


だけど、寂しいと思ってくれてるのは、それだけ俺と居たいと思ってくれてるってことで。


罪悪感が込み上げてくる反面、不謹慎ながらも沙織が浮かない顔をすればするほど、自信が漲ってきた。


州作さんじゃやっぱりダメなんだ。沙織が好きなのは俺なんだから、と。


じゃあ、やっぱり沙織を笑顔に出来るのは俺しかいないじゃないか!


単純な俺は、それまでのネガティブな気持ちが一転した。


州作さんがちょっかい出してくるだけで、二人の間がギクシャクしてたまるか!


生唾一つ飲み込んでから、ようやく俺は沙織の目をちゃんと見つめることができた。


「ごめんな、沙織。寂しい想いをさせて。

でも、もう治ったからさ。だからこれからはちゃんとそばにいるから」


たかだか一泊二日のキャンプなのに、大仰にも聞こえる台詞。


だけど、これは俺の本心だし、これからもずっと、という意味合いを込めたつもりでもあった。


「倫平……」


俺を見上げる沙織の潤んだ瞳に、愛しさがたまらなく込み上げてきて、思わず抱き締めそうになった。


けれど、ここは人で賑わう海水浴場。


だからそれは断念したけど、沙織と気持ちが一つになったような気がした俺は、密かに握りこぶしにグッと力を込めた。


そして、もう片方の手で沙織の手をキュッと握った。




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