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新【翼の記憶】
【ファンタジー 恋愛小説】

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小さな魔導師と剣士-2

「あん?じゃあなんで俺たちがいるんだよ・・・」

不服そうにカイがガーラントを睨んだ。そこで自分の存在意義というものがなくなると思ったからだ。

「この世界は愛で出来ておる。力を持つ者、持たない者・・・
"守る者"と"守られる者"がおるじゃろ。
じゃあ"守る者"は誰が守るんじゃ?」

「・・・強いなら守らなくてもいいんじゃねぇの?」

怪訝な顔をしたカイはガーラントの問いに答えを見いだせずにいる。

「キュリオ様は”守る者”の頂点におられるお方じゃ。そのお方から見れば儂らも"守るべき者"に含まれてしまう。つまりは"王ひとり"と"民全員"になってしまうんじゃよ。」

それまで黙っていたアレスが思いついたように顔をあげガーラントとカイの傍に近づいた。

「先生は"この世界は愛で出来ている"とおっしゃいました。つまりは無償の愛をお与えになるキュリオ様を私たちがお守りすることで、"守られていない者"をなくすということですね?」

ガーラントは頷き真剣な表情を崩さないまま話を続ける。

「左様(さよう)。王が国を支えるのなら、その王を支えるのが儂らの役目じゃ。もちろんあのお方が守ろうとしている者は儂らも守らねばならん。」

「ああ、互いを守るっていうのはすごく重要なんだ。力がある、なしよりも心の拠所(よりどころ)的な意味合いでな。王が全てを背負ってひどい結末を迎えた国があったらしいからな・・・」

ブラストは珍しく遠くを見るような目つきで静かに語った。

「なんだよ、おっさん心当たりでもあんのかよ」

いつにないブラストの表情にカイが眉間に皺を寄せる。

「ん?あー、よく覚えてないが昔の書物かなんかで見た気がしてな!!」

またガハハと笑ったブラストにカイはため息をついた。その表情をみたアレスが小さく笑っている。

「私もそこまで深く考えたことはなかった。ただキュリオ様のお力になりたいと思って魔術の勉強をしていただけだから・・・」

控えめに言葉を発したアレスだが、カイは大きなため息をついた。

「お前・・・嫌味だなーっ!!勉強してただけで天才になれたのかよ!」

そんなカイをみて笑いに包まれた一同。しかし、小さな彼らにとってこの場での会話はその後の考えの大きな基盤となるのだった――――


「うむ。ではそろそろキュリオ様の元に行くとしようかのぉ」

ガーラントが一行を眺めるとそれぞれ気を引き締めるように背筋を伸ばした。そして彼を先頭にキュリオの待つ広場へと歩みをすすめる。すると、カイが隣のアレスへ小声で話しかけてきた。

『なぁ、お前王様に会ったことあるか?』

気が付いたアレスは耳を近づけ小さく頷く。

『私は先程お会いしたよ。君たちと合流する前に先生とご挨拶に行ったから』

『へー!俺まだ会ったことねぇんだよな!!』

だんだんカイの声が大きくなってきてしまい、ブラストにジロリと睨まれ肩をすくめる。

『さっきじぃさんとブラストのおっさんの言ってた事お前理解できたか?』

アレスは教官に睨まれても会話を続けようとするカイに驚きながら苦笑し答えた。

『ちょっと難しい話だったけど・・・要するに、キュリオ様のお心を支える方法を自分なりに考えてみろってことさ。色々なカタチがあるはずだからね』

『あ!そういうことかっ!!』

アレスの表現はガーラントやブラストの遠い言い回しよりも、カイには簡潔でわかりやすく"やっぱりこいつは天才だ!"と内心感心したのだった。


やがてガーラントは巨大な扉の前で立ち止まり、扉をノックする。

「キュリオ様、ガーラントでございます」

彼がそう名乗ると内側から透き通った男性の声が響いた。

『ああ、入りなさい』

後方にいるカイは待ちきれないのか列からはみ出し顔を覗かせている。


―――広間では・・・

遅い朝食を済ませたキュリオは赤ん坊を膝に座らせながらソファで紅茶を飲んでいた。

(もうそろそろいい頃だろうか?)

そんなことを考えていると、外側から待ち人の声がかかった。

『キュリオ様、ガーラントでございます』

「ああ、入りなさい」

キュリオは彼に入るよう返事を返し、膝の上にいる小さな彼女に微笑みかけた。

「ここで待っていてくれるかい?私は少し用事があるから行ってくるよ」

彼女の両脇に手を入れ、膝からおろしソファへと寄りかからせる。体が冷えてしまわぬようストールで優しく体を包みなおした。

理解してかるかどうかわからないが、相変わらず天使ような笑みを浮かべてキュリオを見つめ返している。

「いい子だね。ではまたあとで」

キュリオは幼子の頭をひと撫ですると、少し離れた広間の入口へと歩いて行った。



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